The Gap,Inc. 2022年1月期 第2四半期
「Old Navy」がけん引し大幅な増収、黒字を回復
update: 2021/09/06
カジュアルアパレルを手掛ける「ギャップ」業態などを展開するThe Gap,Inc.(ギャップ社)の2022年1月期第2四半期(2-7月)の連結決算は、主力業態の「Old Navy」(オールドネービー)がけん引し、大幅な増収を達成した。損益面でも、前年同期の損失計上から回復し、黒字を確保するに至った。ECビジネスを強化し、リアル店舗の再編を進めている成果が業績数値に表れてきた。第2四半期の好調を考慮し、通期見通しを上方修正している。
好結果を受けて、通期見通しを上方修正
連結売上収益は82億200万米ドル(約8,940億1,800万円、1米ドル=109円で換算)、52.4%増。売上総利益率(粗利率)は42.1%(15.8ポイント増)と大幅に改善した。トップラインの回復と共に販管費率も低下し、営業利益6億4,900万米ドル(約707億4,100万円、同)を確保した。税引前利益は5億4,600万米ドル(約595億1,400万円、同)、四半期利益は4億2,400万米ドル(約462億1,600万円、同)だった(表1を参照)。
地域別の売上高は、主力の「U.S.」(米国)市場が69億9,500万米ドル(約7,624億5,500万円、同)、54.6%増と大きく回復した。規模は小さいが、「Canada」(カナダ)が5億7,400万米ドル(約625億6,600万円、同)、「Europe」(欧州)が1億9,000万米ドル(約207億1,000万円、同)、47.3%増とそれぞれ好調な推移だった。日本を含む「Asia」(アジア)地域は3億3,400万米ドル(約364億600万円、同)、13.2%増と好調だった(表2を参照)。
業態別の売上高は、主力の「Old Navy」が46億7,000万米ドル(約5,090億3,000万円、同)、60.0%増とけん引役になった。「Gap」(ギャップ)業態は18億6,000万米ドル(約2,027億4,000万円、同)、42.3%増。「Banana Republic」(バナナリパブリック)も8億9,400万米ドル(約974億4,600万円、同)、56.3%増と好調に推移した。
進む店舗網の再編
期末の店舗数は、政策的な統廃合を進めている影響で減少している。今春に売却が完了したセレクトショップの「Intermix」(インターミックス)の31店、子供服の「Janie and Jack」(ジャニ―アンドジャック)の119店、計150店の減少が大きい。期首の店舗数は3,715店(フランチャイズ615店を含む)だったが、期末(7月末)は3,494店(フランチャイズは557店)まで減少した。
北米の「Banana Republic」が1,245店(出30、退5)と増加、「Gap」は542店(出1、退15)と減少した。アジアの「Banana Republic」は48店(出3、退2)と横ばい、「Gap」は339店(出9、退10)。ビジネスモデルの再構築を進めている「Europe」(欧州)は「Gap」が90店(出1、退28)と減少した。
財務面では、粗利率及び商品回転率の回復により交差比率が大きく伸びた。自己資本比率が伸び、D/Eレシオが低下した。財務体質は徐々に改善しつつある。第2四半期の好調を受けて、通期の業績は約30%の増収に上方修正した。連結売上収益は約179億4,000万米ドル(約1兆9,554億6,000万円、同)の計画だ。
(樋口尚平)