H&MGroup、2022.年11月期連結決算──増収を達成するも、世界規模のコスト増要因が影響し減益に
update: 2023/01/30
「H&M」などSPA業態の小売店を展開するH&M(Hennes & Maurits=ヘネス&マウリッツ)Group(H&Mグループ)の2022年11月期の連結決算は、増収を達成するも、世界規模のコスト増要因が影響し減益となった。コロナ禍の名残も影響したようだ。一方、オンライン販売は好調を持続している。
米州が収益に貢献、実店舗が引き続き減少
連結の売上収益は、2,235億5,300万スウェーデンクローナ(約2兆9,061億8,900万円、1スウェーデンクローナ=13円で換算)、12.4%増で2ケタの増収を達成した。売上総利益率(粗利率)は50.7%(2.1ポイント減)と減少。販管費率が47.5%(2.4ポイント減)と増加したこともあり、営業利益は71億6,900万スウェーデンクローナ(約931億9,700万円、同)、53.0%減と減益に至った。ロシア・ウクライナ紛争の影響、コロナ禍のマイナス要因、為替の影響等もあり、コストが増加した。
同様に金融項目控除利益も、62億1,600万スウェーデンクローナ(約808億800万円、同)、56.5%減の減益となった。当期純利益は、35億6,600万スウェーデンクローナ(約463億5,800万円、同)、67.6%減だった(表1を参照)。
地域別の売上収益では、主力の「Europe and Africa」(欧州・南アフリカ)が1,431億8,000万スウェーデンクローナ(約1兆8,613億4,000万円、同)、8.1%増と増収を達成した。「North and South America」(米州)は509億8,800万スウェーデンクローナ(約6,628億4,400万円、同)、26.7%増と前年度に引き続き好調に推移した。日本を含む「Asia and Oceania」(アジア・オセアニア)は293億8,500万スウェーデンクローナ(約3,820億500万円、同)、11.7%増で、前年度の減収から回復した(表2を参照)。
期末の総店舗数は、4,465店(336減)。前年度に引き続いて、店舗整理が進んでいる。主力業態の「H&M」が3,947店(295減)と4,000店規模を下回った。「COS」は259店(16減)、「Monki」も78店(20減)と引き続き減少した。「Weekday」は54店(3減)。「ARKET」が25店(1増)、「H&M HOME」が31店(4増)と増えている。その半面、ECビジネスは連結売上比率の約30%を維持しており、順調な推移である。
財務面は比較的、安定している。流動性指標ではD/Eレシオの水準が1.4倍とやや悪化した。有利子負債の増加、自己資本の減少が影響した。リアル店舗を減らし、収益性の高いEC比率を堅持する方針と見られる。収益性の改善が当面の優先課題だろう。
(樋口尚平)