Gap Inc, 2024年1月期 連結決算──減収に至るも、黒字を回復
店頭売りが増加、オンラインは減収
update: 2024/03/11
「ギャップ」や「オールドネービー」などカジュアルアパレル業態を手掛けるGap Inc,(ギャップ社)の2024年1月期の連結決算は、減収増益の結果となった。全ブランドで売上額は減少したが、経費のコントロールが効いたこともあり、前年度の損失計上から一転し、黒字を回復した。店頭売りは4%増と堅調だったが、オンラインが2%減と伸び悩んだ。
経費コントロールが奏功、利益を確保
連結の売上収益は148億8,900万米ドル(約2兆1,737億9,400万円、1米ドル=146円で換算)、4.7%減の減収。売上総利益率(粗利率)が38.8%(4.5ポイント増)と大きく改善した。販管費率は35.0%(0.2ポイント増)とほぼ前年度並みの水準に抑えられた。
営業損益は前期の損失計上から一転し、5億6,000万米ドル(約817億6,000万円、同)の営業利益を計上するに至った。同様に、税引前利益5億5,600万米ドル(約811億7,600万円、同)、当期純利益5億200万米ドル(約732億9,200万円、同)を計上し、黒字を回復した(表1を参照)。
地域別の売上収益では、主力の「U.S.」(米国)が129億6,700万米ドル(約1兆8,931億8,200万円、同)、1.8%減と伸び悩んだ。「Canada」(カナダ)は12億2,100万米ドル(約1,782億6,600万円、同)、1.2%減とほぼ横ばい。日本を含む「Other regions」(その他地域)は7億100万米ドル(約1,023億4,600万円、同)、40.5%減と大きく減少した。
「Gap」「Banana Republic」がマイナス、「Old Navy」は前年並み
ブランド別の売上収益では、「Gap」が33億4,100万米ドル(約4,877億8,600万円、同)、11.5%減の減収。期中にChinaのEC企業、Baozun(宝尊電商)社とのライセンス契約により、現地の店舗がフランチャイズへ移管した影響も含まれている。主力ブランドの「Old Navy」は82億300万米ドル(約1兆1,976億3,800万円、同)、0.4%減とほぼ前年並みの推移だった。「Banana Republic」(バナナリパブリック)は19億3,900万米ドル(約2,830億9,400万円、同)、8.4%減と苦戦した(表2を参照)。
期末の店舗数は、3,560店(出352、退189。直営2,562、フランチャイズ998)。前期は退店数が出店数を上回ったが、当期は再び増加に転じている。直営が減り、フランチャイズが増加した。アジアの「Gap」が134店(前期232店)と大きく減少した。業態の構成比率が変化してきている。「Gap」が減少し、「Athleta」が270店(出25、退12)と増加している。
財務面では、効率性指標が回復傾向。粗利率の改善もあり交差比率が向上した。自己資本比率がやや増加し、D/Eレシオが低下した。通期の業績見通しは、売上収益が前年並みの149億米ドル(約2兆1,754億円、同)、0.1%増。営業利益は6億600万米ドル(約884億7,600万円、同)、8.2%増を計画している。
(樋口尚平)