島精機製作所、2025年3月期 連結決算──減収、損失を計上
update: 2025/05/12
島精機製作所の2025年3月期連結決算は減収、損失計上に至った。主力の「横編機」の販売が伸び悩み、減収となった。地域別では、「日本」「欧州」が苦戦した。特にイタリアを中心に受注が落ち込んだ影響が大きかった。
主力事業の「横編機」が伸び悩む
連結売上高は、325億1,000万円(9.4%減)の減収。主力の「横編機」が苦戦した。売上総利益率(粗利率)が26.5%(14.4ポイント減)と落ち込んだ。販管費の増加も足を引っ張り、営業損益は119億1,400万円の損失を計上するに至った。経常損失は114億8,100万円。当期純損質は142億7,500万円と損失に至った(表1を参照)。
事業セグメント別では、主力の「横編機」が232億2,900万円(10.3%減)。成型機(10%減)、無縫製「ホールガーメント®」ともにマイナスとなった。販売台数は成型機が5,891台、「ホールガーメント®」が398台。欧州アパレル企業の受注が減り、設備投資が停滞した影響があった。
「デザインシステム関連」は28億1,700万円(18.7%減)だった。地域別では、「日本」が55億円(20.1%減)と2ケタの減収。「欧州」が70億6,500万円(11.6%減)と苦戦した。「アジア」が157億3,200万円(7.4%減)と減収に至った。欧州が苦戦傾向だったが、アジアは健闘した。バングラデシュはほぼ前年並みだった。(表2を参照)。
島三博代表取締役社長は当期の決算について、「色々と想定外のことが起こった。この機にウミを出し切ろうと思った。改善策を打っている」と語った。アジア地域を中心に価格訴求のできる廉価版の編機を拡販するほか、30周年を迎える「ホールガーメント®」の訴求に再度、力を入れる。今期は500-700台の販売を目指す。
また、今期(4月1日)から新たに設けた「カッティングソリューション事業部」も強化分野の1つだ。開発から販売までを1つの組織体にした新しい試みだ。慢性化するコスト高の解決策にも取り組んでいる。「スキルが必要な部材は社内で製作し、そうでないものは外注でまかない、コストダウンを図る」(島社長)試みを続けている。
通期の業績見通しは、連結売上高445億円(36.8%増)、営業利益15億円、経常利益23億円、当期純利益20億円。2ケタの増収、黒字回復を目指す。
(樋口尚平)