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島精機製作所、2023年3月期 連結決算──2ケタの増収、コスト増で損失を計上

update: 2023/05/11

島三博 代表取締役社長

島三博 代表取締役社長

島精機製作所の2023年3月期連結決算は2ケタの増収を達成した。主力の横編機ビジネスが復調し、受注量も増加傾向にある。その一方で、原材料高やエネルギー高などのコスト増で損失を計上するに至った。当期決算の結果を受け、中期経営計画の目標値を修正している。

販管費の増加が利益の足を引っ張る形に

2023年3月期 財務数値一覧(表1)

2023年3月期
財務数値一覧(表1)

連結売上高は378億8,600万円(22.2%増)と2ケタの増収を達成した。イタリアの高級ゾーンが好調だったほか、アセアンやバングラデシュのビジネスが回復したことがプラスに働いた。China(中国)市場はコロナ禍によるロックダウンの影響などがマイナス要因となった。売上総利益率(粗利率)は36.6%(3.7ポイント増)と回復した。

損益面は、原材料高やエネルギー高などのコスト増が影響し、損失を計上するに至った。営業損失21億8,400万円(前期は同42億6,800万円)、経常損失17億円(同34億円)と損失幅は縮小している。当期純損失は、関係会社の株式評価損や減損損失など特別損失34億円の計上が影響し、56億4,400万円と増加した。

2023年3月期 事業別売上高(表2)

2023年3月期
事業別売上高(表2)


収益の回復は遅れているが、財務面は引き続き安定している。流動性比率も良好で、当面の不安材料は見当たらない。トップライン=売り上げの増加と粗利率のさらなる改善、コストのコントロールが直近の課題だ。

反省点は「ホールガーメント®」の苦戦

主力の「横編機」の売上高は273億9,500万円(32.4%増)と2ケタの増収となった。イタリアやアセアン、バングラデシュなどが貢献した。販売台数は7,427台(3,064台増)と大きく回復した。うち、「ホールガーメント®」が674台(246台減)と苦戦した。Chinaのローカルアパレルがロックダウンの影響を受けたことがマイナス要因だった。

中期経営計画 修正値一覧(表3)

中期経営計画
修正値一覧(表3)

デザインシステム関連の「APEXFiz」のライセンス契約数が順調に増加した。デザイン、パターンのみの展開で、主力のニットは今年リリースの予定。その点では順調な推移だと分析している。「受注数の増加はこれから本格化する見通し」(島三博社長)だという。

島三博 代表取締役社長は決算を振り返り、「黒字化を目指した2022年度だったが、非常に困難な1年となった。今期は社員が一丸となり、何とか黒字化を目指したい」と語った。コロナ禍における大きな課題は「ホールガーメント®」と指摘。「非常に不満足な結果だった。エントリー向けのモデルも強化していきたい」と今後の取り組み課題を語った。

決算の結果を踏まえ、2024年3月期を最終年度とする「中期経営計画」の数値目標を下方修正している。通期の業績見通しは、連結売上高430億円(13.5%増)、営業利益10億円、経常利益17億円、当期純利益12億円。5期ぶりの黒字回復を目指す。                                    

(樋口尚平)

島精機製作所、2023年3月期 連結決算──2ケタの増収、コスト増で損失を計上

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