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主要上場ラグジュアリーブランド企業2社、2022年12月期 決算まとめ──2ケタの増収増益を達成

update: 2023/03/27

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社の 2022年12月期。LVMHは2ケタの増収増益に (画像は説明資料から抜粋)

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社の
2022年12月期。LVMHは2ケタの増収増益に
(画像は説明資料から抜粋)

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社の2022年12月期決算をまとめた。対象としたのは、2022年12月末に年度末を迎えた2社――LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)グループ、およびKERING(ケリング)社。両社ともに2ケタの増収増益を達成した。コロナ禍の影響から立ち直り、高収益を確保した。

LVMHは過去最高収益、欧米と日本市場が成長

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社、 2022年12月期まとめ(表1)

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社、
2022年12月期まとめ(表1)

LVMHグループの2022年12月期連結決算は、主力の「Fashion and Leather Goods」(ファッション・皮革製品)が好調に推移したこともあり、2ケタの増収増益となった。全カテゴリーで増収を達成した。連結の売上収益は、791億8,400万ユーロ(約11兆857億6,000万円、1ユーロ=140円で換算)、23.3%増と2ケタの増収で、過去最高額を更新した。特に欧州、日本、米国のビジネスが大きく成長した。

売上総利益率(粗利率)は68.4%(0.1ポイント増)と微増。営業利益(Operating profit)は210億100万ユーロ(約2兆9,401億4,000万円、同)、22.4%増と順調に伸びた。税引前利益は201億1,300万ユーロ(約2兆8,158億2,000万円、同)、16.9%増、当期純利益は140億8,400万ユーロ(約1兆9,717億6,000万円、同)、17.0%増とそれぞれ2ケタの増益を達成した(表1を参照)。

主力の「Fashion and Leather Goods」(ファッション・皮革製品)の売上収益は、386億4,800万ユーロ(約5兆4,107億2,000万円、同)、25.1%増と2ケタの成長。セグメント利益(Profit from recurring operations)が157億900万ユーロ(約2兆1,992億6,00万円、同)、22.3%増の増益となった。グループ全体の稼ぎ頭になっている(表2を参照)。

主力ブランド「Louis Vuitton」の売上額が初めて200億ユーロを突破

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社、 2022年12月期 セグメント別売上収益(表2)

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社、
2022年12月期 セグメント別売上収益(表2)

主力ブランドの「Louis Vuitton」(ルイ ヴィトン)の売上額が初めて200億ユーロ(約2兆8,000億円、同)を突破した。「Christian Dior」(クリスチャンディオール)、「Celine」(セリーヌ)、「Fendi」(フェンディ)、「Loro Piana」(ロロ・ピアーナ)、「Loewe」(ロエベ)、「Marc Jacobs」(マークジェイコブス)などのブランドも好調な推移で、収益に貢献した。そのほか、「Perfumes & Cosmetics」(香水・化粧品)が77億2,200万ユーロ(約1兆810億8,000万円、同)、16.9%増と好調な推移。「Watches & Jewelry」(時計・宝石類)も105億8,100万ユーロ(約1兆4,813億4,000万円、同)、18.0%増と好調だった。

地域別の売上推移は、米国が22%増、日本が31%増、欧州が35%増と健闘した。売り上げに占める比率は米国が21%、フランスが7%、欧州(フランスを除く)が17%。日本は9%と高い比率を保っている。

財務面も安定している。効率性指標は前年度とほぼ同じ水準。流動性指標では、手元流動性比率が低下しているが、2期前の現金及び現金同等物の増加の影響によるもの。D/Eレシオは減少しており、正常値と言われる0.3倍にとどまっている。

KERING、主力ブランドの「Gucci」を中心に安定した推移に

Keringは「GUCCI」を中心に堅調な推移 (画像は説明資料から抜粋)

Keringは「GUCCI」を中心に堅調な推移
(画像は説明資料から抜粋)

一方KERINGは、主力ブランドの「Gucci」(グッチ)を中心に安定した推移だった。連結の売上収益は、203億5,100万ユーロ(約2兆8,491億4,000万円、同)、15.3%増と2ケタの増収。粗利率は74.7%(0.6ポイント増)の微増。営業利益(Operating income)は53億9,500万ユーロ(約7,553億円、同)、12.5%増。税引前利益が51億3,500万ユーロ(約7,189億円、同)、13.5%増。当期純利益も36億1,300万ユーロ(約5,058億2,000万円、同)、14.2%増でそれぞれ2ケタの増益を達成した(表1を参照)。

ブランド別の売上収益は、主力の「Gucci」が104億8,700万ユーロ(約1兆4,681億8,000万円、同)、7.8%増と堅調な推移だった。「Yves Saint Laurent」(イヴサンローラン)が33億ユーロ(約4,620億円、同)、30.9%増と好調だった。「Bottega Veneta」(ボッテガヴェネタ)も17億4,000万ユーロ(約2,436億円、同)、15.8%増と好調だった。

地域別では、西欧が56%増、北米が5%増と好調な推移。Chinaのコロナ禍政策の影響もあり、アジア地域の売上額が7%減と苦戦した。一方、日本市場は25%増と好調な推移だった。

財務面は効率性指標において、商品回転率の減少により交差比率がやや低下している。流動性指標ではD/Eレシオが微増した。手元流動性比率などLVMHを上回っている数値も散見される。                                    

(樋口尚平)

主要上場ラグジュアリーブランド企業2社、2022年12月期 決算まとめ──2ケタの増収増益を達成

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