グンゼ、2024年度 事業説明会──アパレルの総合ブランド化を進める
update: 2024/07/11
グンゼが7月9日、大阪市内で「2024年度 事業説明会」を開催した。今年度(2025年3月期)の重点政策について、各担当の役員がメディアに説明した。アパレルカンパニーでは、アパレルの総合ブランド化を進め、新規顧客の開拓に力を入れる。
機能性インナー「アセドロン」が好調なスタート
今年度(2025年3月期)のアパレル事業では、次の5点──①アパレル総合ブランド戦略、②顧客ニーズに踏み込んだ商品による新規顧客獲得、③D to Cビジネスシフト、④差異化技術の成長を支える生産体制、⑤環境貢献モデル構築によるカーボンネガティブを達成、⑥当社社員による情報発信、が重視する政策である。
アパレル総合ブランド戦略では、「ボディワイルド」や「トゥシェ」「サブリナ」「キレイラボ」の既存ブランドにおいて、従来はインナーだけだった商材をアウターやボトムスなどにも広げ、トータル化を図るという取り組みだ。2023年4月から製品別だった事業体制を横軸の横断型の組織に改めた結果、横の連携が強化され総合ブランド化がやりやすくなった。
春夏シーズンの新たな機能商品として今春から展開し始めた吸汗速乾の「アセドロン」が計画比40%増(出荷ベース)と好調なスタートを切った。素早く汗を吸い、生地の肌離れにも優れるという機能訴求が認知度を高めているようだ。顧客ニーズに踏み込んだ商品による新規顧客獲得では、Tシャツの下に着る「in.T」などが特定のファンを取り込んでいる。レディスファッションのマッシュグループと協業した「バレリット」の市場投入も進んでいる。
③のD to Cビジネスでは、ECの売り上げが2ケタ増を持続している。プロパー店、アウトレットを含めた直営店の展開も強化ポイントの1つで、店舗数は33店にまで拡大した。また今期から、社員によるYoutubeチャネルも開設し、各商品の魅力を分かりやすく伝えようと取り組み始めている。
前期(2024年3月期)の実績は、連結売上高1,328億8,500万円(2.3%減)、営業利益67億7,700万円(16.6%増)、経常利益37億7,400万円(12.5%増)の減収増益だった。「アパレル」事業は売上高601億1,400万円(1.4%減)、営業利益14億6,500万円(前期は2億2,200万円の営業損失)で、減収したが黒字を回復した。今期は上記の取り組みを推し進めることにより、収益性の改善を目指す。
(樋口尚平)