Gap Inc, 2023年1月期 連結決算
店頭、EC共に伸び悩み減収、損失を計上
update: 2023/03/13
「ギャップ」や「オールドネービー」などカジュアルアパレル業態を手掛けるGap Inc,(ギャップ社)の2023年1月期の連結決算は、店頭、EC共に苦戦し減収、損失を計上するに至った。在庫の適正化や為替の影響で売上総利益率(粗利率)が大きく落ち込んだ。主力の「U.S.」(米国)が苦戦した。ブランドでは「Banana Republic」(バナナリパブリック)が健闘した。
「Gap」「Old Navy」は苦戦
連結の売上収益は156億1,600万米ドル(約2兆144億6,400万円、1米ドル=129円で換算)、6.3%減の減収。売上総利益率(粗利率)が34.3%(5.5ポイント減)と大きく落ち込んだ。販管費率は34.8%(0.2ポイント減)。
粗利の減少の影響が大きく、営業損失6,900万米ドル(約89億100万円、同)と損失を計上した。同様に、税引前損失1億3,900万米ドル(約179億3,100万円、同)、当期純損失2億200万米ドル(約260億5,800万円、同)を計上するに至った(表1を参照)。
地域別の売上高では、主力の「U.S.」(米国)が132億100万米ドル(約1兆7,029億2,900万円、同)、6.5%減と苦戦した。「Canada」(カナダ)は12億3,600万米ドル(約1,594億4,400万円、同)、1.3%減とほぼ横ばい。日本を含む「Asia」(アジア)地域は6億7,200万米ドル(約866億8,800万円、同)、7.9%減と落ち込んだ。
リアル店舗の整理は一段落、収益性の回復が課題
ブランド別の売上高では、「Gap」が37億7,400万米ドル(約4,868億4,600万円、同)、7.1%減と40億ドル台を割り込んだ。主力ブランドの「Old Navy」は82億3,400万米ドル(約1兆621億8,600万円、同)、9.3%減と苦戦した。「Banana Republic」(バナナリパブリック)は21億1,600万米ドル(約2,729億6,400万円、同)、7.1%増と健闘した(表2を参照)。
期末の店舗数は、3,352店(出228、退275。直営2,685、フランチャイズ667)。直営は150店減、フランチャイズは103店増だった。北米の「Athleta」(アスレタ)ブランドの店舗が257店(出40、退10)と増加している。アジアの「Gap」が232店(出5、退102)と大きく減少した。
効率性指標は、粗利率の低下により交差比率が悪化している。商品回転率は3.8と微増。流動性指標では、D/Eレシオが自己資本の低下もあり、0.6倍とやや悪化した。当面の課題は収益性の改善だろう。ブランドでは「Old Navy」が売り上げの53%を占めているほか、地域別では米国が85%と偏っている。販路別では、オンラインが38%と徐々に増えてきた。第2、第3の収益の柱を構築することが急務だと考えられる。
(樋口尚平)