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タビオ 越智勝寛社長
「国内製造業はまだまだ伸び代ある」
「インターネット無しの小売業は考えられない」

update: 2012/01/01

タビオ 越智勝寛社長

タビオ 越智勝寛社長

2010年2月期、2011年2月期と減収減益が続いたものの2012年2月期は増収増益ペースで推移するタビオ。靴下専門のSPA企業として、年商150億円規模に到達した今も国内生産比率97%を維持し続けている。国内繊維製造業が疲弊する中、物作りを維持して着実に売り場を広げる同社の越智勝寛社長に、今後の展望をお聞きした。

 -国内の繊維製造業の今後はどう見ているか?

他の衣料品分野はわかりませんが、靴下という分野ではまだ国内製造には伸び代があると考えています。自動車や家電製品とは異なり、繊維製造業は全体的に中国やアジア諸国に製造スキルの流出が少ないと感じています。とくに靴下というジャンルはそうです。このため、国内製造業が重要視される要素が数多くあります。単純に機械設備だけを見れば中国やアジア諸国の方が最新鋭ですが、やはり職人の技術は日本が勝っています。

しかし、日本の製造業をこだわりの「匠」として捉えることには疑問があります。デイリーユースな商品を作るためには「匠」をクローズアップしすぎるのは良い方向には働かないと思います。

事業によっては国内製造業を強化すればプラスにつながる部分もありますし、アジアや米国にメイドインジャパン製品を展開したいと常に考えています。

個人的な意見ですが、ちょっと昨今は「コンプライアンス」や「ガバナンス」ばかりを重視しすぎではないかと感じます。仕組みではなく携わる「人」が大事なのではないかと思います。機械がプリウスやiphoneを考えたのではありません。考えたのはあくまでも人です。

当社が日本生産を主体に取り組んでいるのは、「日本の製造業をなんとかしたい」と思い上がっているわけではありません。良い物が作りたいと考えて探した結果、国内工場に行きついたということです。「日本製だから良い物」とは考えていませんが、良い物を作るための工場が日本にあったといえます。今現在の日本の靴下工場のレベルは世界的に見ても高いですし、トレンドサイクルが短いため、納品まで時間がかかる海外生産は当社には適していない状況もあります。

今秋デビューした「TABIO SPORTS トレイルランシリーズ」

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 -今後の貴社の成長戦略は?

当社は、これまでレディースの靴下屋として成長してきましたが、さらなる成長を目指すにはメンズ分野の強化が必要だと考えています。売り上げ構成ではまだまだ小さく、昨年は5%程度でしたが、これを8~9%くらいにまで高めたいです。メンズの靴下に関して言えば、まだまだファッション化できていないと感じます。紆余曲折はありましたが、メンズ市場ではワイシャツもバッグも靴もファッション化しました。ファッション化できたからこそ、ある程度の中額品・高額品が動いているのだと思います。実用品なら価格競争しかなかったでしょう。

男性が靴下にもこだわる文化を広めたいです。男性の靴下がファッション化していないというのは当社も含めた靴下業界の怠慢ではないでしょうか。

現在、インターネットモールのZOZOTOWNにも出店していますが、メンズのレッグウォーマーやメンズレギンスが売り上げ1位を占めるという状況です。こちらとしてはまったく予想外の動きです。しかし、メンズにもファッション性の高いレッグウェアが売れることがわかりました。業界が考えているよりもメンズのファッション化は要望されているのかもしれません。

 -機能性商品について

当社がもう一つの成長分野と位置付けているのが機能性商品です。その手始めがスポーツ分野です。かれこれ数年前からランニング用の靴下を発売しています。昨年にタビオレッグラボを立ち上げ、「働く女性」向けの機能性商品の販売を開始しました。まずは補正タイツと着圧靴下です。このほかにも様々な切り口があると考えています。抗菌・防臭や他のスポーツ分野などです。この辺りの開発も当社を含めた靴下業界全体が遅れていた部分です。

靴下屋 ルミネ有楽町店イメージ

靴下屋 ルミネ有楽町店イメージ

 -販売政策について

これ以上、実店舗の店舗数を大幅に増やすことは不可能でしょう。実店舗に関しては既存店舗のスクラップ&ビルドや増床リニューアルは積極的に行います。

強化するのはインターネット販売です。ビッダーズやZOZOというモールには出店していますが、これに加えて自社のオリジナルサイトでの販売も強化します。昨今の消費者はまず「検索」してから買うという傾向が強まっています。インターネットでのレコメンドが増えれば増えるほど、さまざまな検索で上位に引っかかりやすくなります。「検索」対策のツールとしてもオンラインショップなしの小売業というのは考えられないのではないでしょうか。

一方、海外販売をもう一度見直します。イギリスとフランスにすでに出店していますが、2012年にはフランス2号店を出店します。イギリスは8店舗ありますが、これらの各エリアを見直しているところです。そして東アジアの拠点作りを前向きに検討しています。ただし、東アジア=中国とは考えていません。中国も含めた東アジア全体で最適の地を見つけたいと考えています。

東アジアで大規模に販売するよりも、まず欧州で成功することを優先します。欧州で成功することがアジアでの成功につながると考えているからです。

 -ありがとうございました。

(ファッションライター 南充浩)

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