58th FISMA TOKYO(東京ファッション産業機器展)
モノづくりの新時代に向け
各社の強みを活かした新しい提案
update: 2023/10/06
2023年10月3日(火)~4日(木)の二日間にわたり、東京ビッグサイトで「58thFISMA TOKYO(東京ファッション産業機器展)」が開催された。今回のテーマは“「モノづくり新時代の創造と発見」~ニューノーマルがモノづくりを変える~”とし、約70社が出展した。会場は初日午前中から大盛況で、服飾学校の学生たちの姿も多く見られた。
“縫う”から広がるお客様の要望を叶える
最新機器を発表
ブラザーは「その一針(いっしん)から、革新へ」をテーマに、アパレル業界以外でも必要とされる“縫う”技術の要望に応えた新機種を展示。参考出品された「ダイレクトロール縫製システム」は、裁断前の原反を直接縫製することができ、余裕代を確保して縫製不良の発生を抑えられる。例えば自動車のシートやエアバッグなどのアパレル以外の領域、靴やバッグなどファッション雑貨の領域での活用が期待される最新機器だ。
最新機器のBAS-370H-050Vブリッジ型プログラム式電子ミシン
水平釜仕様は、下糸を垂直釜から水平釜にすることでステッチの仕上がりがアップ。
皮革やカーシート製品でより風合いの良い縫い目を実現できるようになった。
さらにユーザーの製造工程に合わせて裁断、接着、プリントなどの機器と組み合わせて提案することも可能。それにより制作コスト、設置面積の削減、工程間の段取り替えがなくなり、生産性向上も期待できる。 縫製設備を中心に様々な形で効率化、生産性の向上を図っている。
技術伝承からの脱却
技術をどう伝えていくかを解決する
今年4月よりペガサスミシン製造株式会社から株式会社PEGASUSへ社名変更した、ペガサスのブースでは「縫製技術指導」や「技術伝承」の課題を持つ現場に向けた機種やシステムを提案していた。
縫製業界ではかねてから言われているが、工場の高齢化とそれに伴う技術伝承に課題を抱えている工場は多い。そこで、新人職人や縫製技術が追いついていない職人でも一定レベルの仕上がりで縫製ができるようになるミシンを展示。実際に縫製に慣れていない同社の若手営業マンがそのミシンを使い縫ってみるデモンストレーションを披露していた。
また、ミシンのほかに、技術伝承や教育のために記録してきた動画をそのままにせず、作業手順書やマニュアル化するサービスも提案していた。
リボーンシリーズの最新機種を正式発売
アパレル以外の業界で活躍の可能性
島精機製作所は、昨年、試作機として出品していた裁断機「P-CAM R」を正式発売し、今回の会場にも展示した。最後の「R」は「Reborn(リボーン)」を意味し、大幅にアップデートされた機種を「Rシリーズ」として展開している。
試作機として一部取引先などで先行使用してもらい、様々なフィードバックを受けて改善した「P-CAM R」は、世界トップクラスの裁断機を目指している。裁断精度が工場したのはもちろん、裁断以外にドリル機能、延反機など、ユーザーが要望に応じた工程をドッキングさせ、ライン作業することも可能に。また、細かな部品も見直すことで、裁断できる枚数を増やせ、電力使用量も抑えることができるようになり、生産性もアップさせた。
(ファッションライター 苫米地香織)