シキボウとユニチカトレーディング、2度目の合同総合展を開催
update: 2022/08/31
《展示会レポート》
シキボウとユニチカトレーディングが、2度目の合同総合展を開催する。大阪(8月31日~9月2日)を皮切りに、東京(9月7~9日)でも展示会を開く。両社の強みを活かした新製品を共同で企画・開発し、相乗効果を狙う目的がある。複数のプロジェクトチームを組織し、より有機的な動きで合同展に臨む。
出展製品は全て両社の協業企画
第1回目の合同展は昨年12月に初開催した。昨年4月に結んだ両社の「繊維事業における企業間ビジネス連携」に基づく取り組みの一環で、互いの強みを活かして相乗効果を挙げる目的がある。前回は両社の協業品の点数は限られていたが、今回は出展製品の全てが協業企画で構成されている。
展示会のテーマは「共創──Co-creation」。両社で複数のプロジェクトチームを組織し、より踏み込んだ素材の開発に取り組んだ。テーマの「Co-creation」の“Co”の文字を含む5つの言葉を選び、その意味に合致する各素材を分かりやすく提案する。訴求する機能性別に「ECO」「Color」「Comfort」「Commitment」「Convenience」の5分野に編集した。
「ECO」(エコ)では、両社が共同で販売する2つの新素材――生分解性ポリエステル繊維の「BIOGRANDE™」(バイオグランデ)、自然由来のコラーゲンを練り込んだレーヨンとリヨセルの混紡繊維「URULIST™」(ウルリスト)を提案。前者はマイクロプラスチック対策も視野に入れている。後者は魚のウロコから抽出したコラーゲンを使用。共に環境保全が開発のテーマだ。
「Color」(色)では、ユニチカトレーディング(ユニトレ)の回収素材を利用したアップサイクルシステム「彩生」(さいせい)を提案。「Comfort」(快適性)では、両社の似た機能を持つ素材を掛け合わせた新素材を開発した。その1つが太陽光を吸収して発熱する機能を持つユニトレの「タクティウォーム®」とシキボウの「ソーラーギア®」を採用したもの。クーリング機能提案では、ユニトレの「こかげマックス™」とシキボウの「アゼック®」を組み合わせた。
「Commitment」(責任・義務)では、環境保全や抗菌機能、防透性などを追求した。ユニトレのポリエステル100%の生地にシキボウの抗ウイルス・抗菌加工「フルテクト®」を施したものや、ユニトレの「パルパー®」とシキボウの「アゼック®」という各社の代表的な素材を組み合わせた素材も開発した。
「Convenience」(利便性)では、シキボウの経血消臭加工「フェミュー™」を施したユニトレのリヨセル素材「シルフ®KF」を企画。また、両社のインドネシア工場を活用したエコ素材も提案した。
協業の成果が徐々に表われる
昨年から本格的にスタートした両社の繊維ビジネスに関する協業は、着実に相乗効果が表われてきているようだ。1回目の合同展でもある程度の形になっていたが、協業が深化した今回は更なる手応えを感じている。
ユニチカトレーディング、新居康司 衣料繊維事業本部長代理は「今回はさらに踏み込んで協業を推し進めた。特に『エコ』の2つの素材は両社で販売していこうと考えている。また、『パルパー®』などに付加価値を足した素材を開発するなど、技術提携も進めている」と取り組みを説明した。シキボウ、尾﨑友寿 執行役員繊維部門営業第二部長は「出展品の全てが協業品。外部の展示会に共同で出展するなどし、新規分野の開拓も模索していきたい」と今後の抱負を語った。
得意先が重複しているケースもあるというが、交通整理はうまくできているようだ。国内やアジアの生産拠点の力もフル活用し、今後も協業の精度アップに力を入れる。
(樋口尚平)