グンゼ、2023年春夏シーズン商況──猛暑や消費活動の正常化が後押しし、夏物が好調な推移
update: 2023/09/07
《企業レポート》
グンゼの2023年春夏シーズンの商況は、猛暑やコロナ禍の制約緩和により消費活動が正常化した後押しもあり、夏物が好調に推移した。クーリング機能を付加した商品群「クールマジック」などのシーズンインナー、ブラトップなどが売れ筋になった。
ブラトップ、「in.T」「サブリナ」などが健闘
ほかのアパレルと同様に日本のインナー分野においても、原材料や物流コストなどの増加で利益が得られにくい状態が続いている。また円安も長引いていて、アジアを中心に製品を生産しているグンゼにとっては、輸入にかかるコストも無視できない要素の1つになっている。今年の春夏シーズンでは昨年の秋冬に続き、新製品を中心に、平均して10-15%の上代の値上げを実施するなど、利益確保の施策を打ってきている。
こうした難しい市況の中で、2023年春夏シーズンに健闘した商品は、クーリング機能を付加した商品群「クールマジック」などのシーズンインナー。猛暑になった気候の影響もあり、夏物の動きが良かったという。そのほかのアイテムでは、ブラトップが好調だった。肌にストレスがかかりにくい素材や仕様、軽量や速乾などイージーケアである点が支持を集めたようだ。「速乾性のある『軽ブラ』の動きが良かった」(アパレルカンパニー営業MD本部、千葉あゆみ商品企画部長)。
メンズ商品では、引き続き「in.T」(インティー)が好調を維持している。Tシャツをアウター代わりに着る際のインナーとして開発した製品で、新しい着こなし、トレンドを意識した。Eコマースでは40-50%増で売り上げが伸びている。
レッグ関連では、ストッキングブランドの「サブリナ」が健闘した。社会が正常化し、それに連れ面接や通勤、商談といったフォーマルな機会が増えたことが一因のようだ。また、冠婚葬祭などのオケージョン需要が戻ってきた背景もあり、ストッキングの売り上げが復調した。
そのほか、Eコマースは多少波があるものの堅調な推移。SPA、直営店の出店も計画通りに進んでいる。しかし長引くデフレーションと物価高が影響し、客数は十分に回復していないようだ。客単価の増加でカバーしている状態だという。
(樋口尚平)