59th FISMA TOKYO
裁断・縫製・プリント加工のすべてが集結
各社の最新機器を活用した技術提案を披露
update: 2025/11/17
東京都ミシン商工業競合組合が主催する「59th FISMATOKYO(東京ファッション産業機器展)が11月12日、13日の2日間にわたり、東京ビッグサイトにて開催された。
これまでアパレル製造に関する機器・システムなどを中心に開催してきたが、59回目の開催となる今回は、従来のアパレル製造機器にとどめず、アパレル以外の分野で活躍する縫製関連機器も対象に加え、展示製品・技術・情報を拡大。展示会名称に「アパレル、自動車・航空宇宙、インテリア、レジャー・スポーツなど 裁断・縫製・プリント加工の全てが結集」とサブタイトルをつけ加え、展示内容もボリュームアップ。
出展企業76社の中から一部企業の展示を紹介していく。
株式会社島精機製作所
裁断機の国内最高峰を目指して開発された最新機器「P-CAM®R」
島精機製作所では、全社を挙げて「Revolution」「Reborn」をテーマに既存機種の改良を進めてきた。改良した製品には「Revolution」「Reborn」の頭文字「R」を記して、フラッグシップモデルとして紹介している。今回展示した自動裁断機「P-CAM®R」も3年前より参考製品として披露をし、昨年より発売を開始した最新機種にあたる。
参考製品として披露してから一部取引先にてトライアルを重ね、フィードバックを受けてさらに改良した「P-CAM®R」は、生産性と歪みの軽減において重点的にアップデートされている。生産性向上のために、従来はヘッド部分に生地を裁断するナイフに目打ちをするドリルが内蔵されていたが、最新機種ではそれを分離。これにより、カーシートのような厚みのある特殊素材を裁断する際、同じヘッドで2つの作業をさせるよりも、作業を分けて連動して動かすことで効率的に裁断することができるようになった。デニムのような厚みのある生地を重ねて裁断するときにも有効だ。
もう一つの歪みは、一度に大量に裁断した時に起こる1枚目・中間部分・一番下の生地で、裁断した生地に生じる歪みを少なくするための改良になる。厚みがあればあるほど裁断用のナイフがたわむために歪みが生じるのだが、それを補正する仕組みが組み込まれた。
ほかにも、海外基準の安全装置も取り入れられ、大量生産が主になる海外工場での導入も視野に。国内の裁断機シェアではトップではあるが、今後は高度な裁断技術を必要としている海外の縫製工場へ向けても提案していく。
ブラザー工業株式会社
細かい送り制御設定を可能にし、作業者の負荷を減らして高い縫製品質を実現
ブラザーからは、アパレル製品向けとノンアパレル製品向けで2つの新機種を展示。 アパレル製品向けは、S-7300Aの後継機種として、今後のフラッグシップモデルになる「S-7300B」を参考出品していた。「S-7300B」の特徴は、電子送り制御の進化。元々搭載されていたデジタル技術をさらに進化させ、これまで4種類の送りが8種類になり、生地や作業者の感覚に合わせて使いやすい設定にすることが可能に。来場者に試してもらっていても「送りが軽くて、ストレスがない」という声も上がっていた。今まで以上に軽い感覚で布が送れるようになり、作業者が疲れにくくなることが期待される。 ほかにも、細かい送り制御ができることで、適切な糸締まりも実現でき、パッカリングが起こりにくくなった。また、針が落ちるタイミングで布をおくることがないので針折れも軽減できるという。
ノンアパレル製品向けでは、今回初出品となる参考機種「BAS-341K」「BAS-342K」を紹介。ダイレクトドライブプログラムプログラム式電子ミシンと呼ばれるもので、プログラムに沿って押え板が動き縫製することできるミシンになる。 新機能として、縫製の品質を司るカマ部分の調整をデジタル化し、いままで0.01mm単位を目視で微調整していたのをタッチパネルで調整することができるようになった。カマ周りにセンサーを付けることで、縫製の振動で基準値からカマの位置がずれたとしても、現在値と最適な目標値がパネルに表示され、画面上で調整ができるようになった。これにより、生産性はもちろん、どんな人でも調整ができる再現性、機種同士で同じ設定ができる展開性が高まる。
株式会社PEGASUS
新人縫製職人にも使いやすく、安定した縫製品質も維持できるミシン
縫製する際に高いテクニックが要求されるカットソー縫製において、縫製職人にそこまでのスキルがなくても一定の品質で縫い上げることができるミシンを主に出品しているペガサス。今回は、スポーツウェア、インナーウェアなどで最近よく見かける縫い目を開いて見せて縫い代部分を薄く柔らかくする“M縫い”を、安定した品質でスピーディに縫うことができるセットを紹介。
M縫い専用1本針オーバーロックミシン「MX」シリーズは、縫い目を手でも開きやすいように調整されているため、手作業で開いていくことも可能。しかし、手で開くのは面倒であったり、力加減で生地が伸びてしまったりする場合もある。そこで専用のシームオープナーをセットで使ってほしいと提案。肌触りの良さだけでなく、デザインとしても見られる縫製部分だからこそ、きれいな仕上がりにするためにお勧めしている。 ほかにも、入社したての職人でも半日練習すれば一定のクオリティで縫製できるようになる裾引き用の環縫いミシン、カバリング用細筒型扁平縫いミシンなどを紹介していた。
(ファッションライター 苫米地香織)












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