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しまむら、2021年2月期 第2四半期
減収するも、経費コントロールが奏功し増益に

update: 2020/09/30

しまむらグループの2021年2月期第2四半期は 減収・増益となった (画像は新ブランドの「マニーナ」)

しまむらグループの2021年2月期第2四半期は
減収・増益となった
(画像は新ブランドの「マニーナ」)

カジュアル衣料業態「しまむら」などを運営するしまむらグループの2021年2月期第2四半期(3-8月)の連結決算はコロナ禍で減収するも、経費コントロールが功を奏したこともあり、増益を達成した。当初の業績予測を上回った。それに伴い、通期の業績予測を上方修正している。

6-8月の店頭業績が2ケタ増

2021年2月期 第2四半期 財務数値一覧(表1)

2021年2月期 第2四半期
財務数値一覧(表1)

連結の売上高は2,542億5,300万円(3.8%減)だったが、6-8月の第2四半期に限定すると、売上高は前年同期比で12.7%増と2ケタの伸びを示した。主力業態の「しまむら」(10.9%増)をはじめ、「アベイル」(10.5%増)や「バースデイ」(27.8%増)、「シャンブル」(33.8%増)などレディスや子供服業態なども好調に推移した。同社では、6-7月を中心に「巣ごもり需要に対応した商品や夏物商品が好調」だったことがプラス要因だと見ている。しかし浴衣や水着のシーズン商品が、コロナ禍による自粛の影響で前年よりも大きく落とした。

売上総利益(粗利)は「値引き販売の抑制と短納期で商品を店頭へ供給する施策」により、棚卸資産(在庫)の適正化が進み、大きく改善した。特に6-8月の第2四半期において、夏物の在庫の適正化がプラスに働いた。粗利率は33.4%(0.1ポイント増)と微増した(表1を参照)。

粗利の改善と販管費抑制の結果、営業利益が159億7,600万円(11.3%増)と2ケタの増益を達成した。同様に経常利益も163億7,100万円(12.2%増)と2ケタの増益だった。在庫及び売価コントロールが奏功したことで、第2四半期(3-8月)の業績見通しが当初の予想を上回った。それに伴い、通期の業績予測も上方修正している(表3を参照)。

9月も好調を持続

2021年2月期 第2四半期 部門別売上高(表2)

2021年2月期 第2四半期
部門別売上高(表2)

業態別の売上高(3-8月)では、主力の「しまむら」が1,927億2,200万円(5.6%減)。「アベイル」が235億1,200万円(8.3%減)と苦戦した。一方、子供服の「バースデイ」は294億2,000万円(10.6%増)と好調に推移した。サプライヤーと組んだ共同企画商品がけん引役になったようだ。「シャンブル」も56億1,800万円(13.1%増)と健闘した(表2を参照)。

下期に入った9月度(8月21日~9月20日)の売り上げの速報値(全店ベース)は、前年同期比で11.3%増と好調を持続している。「アベイル」は同9.4%増、「バースデイ」は同25.3%増と好調な推移だった。

新しい動きとしては、9月28日の取締役会において、「飾夢楽(上海)商貿有限公司の事業縮小」を決議した。同社はChina国内で「しまむら」と同様の衣料品販売を行っているが、コロナ禍の影響もあり一旦、本年度中に全店舗を閉鎖する。期末の店舗数は6店のため、業績に及ぼす影響は軽微だと考えられる。

今秋、自社オンラインストアを開設、来期は50億円を目指す

2021年2月期 通期業績修正(表3)

2021年2月期 通期業績修正(表3)

また10月1日から新たに、自社ECのオンラインストアをオープンする。展開業態は「しまむら」。ECサイトから商品を注文し、宅配で受け取れるほか、店舗での商品引き渡しも可能な仕組みだ。それに伴い、スマートフォンで運営していた受注システム「しまコレ」は9月で終了する。「しまコレ」と新たに立ち上げるオンラインストアと併せて、今期は20億円の売り上げを計画している。来期の売上計画は50億円。将来的には売り上げの5%程度まで成長させる考えだ。

財務状態は引き続き良好だ。有利子負債の計上がなく、手元流動性資産も潤沢であるため、実質的に無借金経営である。ここ数年、トップラインの頭打ちが指摘されてきた同社だが、第2四半期(6-8月)からは復調の傾向が見られる。収益の大半を占める店頭売上の回復が、さらなる成長のカギを握ると考えられる。                                 

(樋口尚平)

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