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国内主要上場アパレル企業9社、2018年度 第2四半期決算まとめ
企業間で収益性に格差表れる

update: 2018/12/03

主要上場アパレル企業9社、2018年度 第2四半期 財務数値一覧(表1)

主要上場アパレル企業9社、2018年度
第2四半期 財務数値一覧(表1)

国内の主要上場アパレル企業9社の2018年度の第2四半期決算をまとめた。記録的な天候不順や天災の発生により、消費活動が制限された影響で苦戦を強いられた企業が多く見られた一方、堅調に業績を伸ばした企業も散見される。収益性において、企業間で格差が見受けられた。

増収・増益は3社にとどまる

対象としたのは計9社(ワールド、オンワードホールディングス、アダストリア、TSIホールディングス、レナウン、良品計画、パルグループホールディングス、バロックジャパンリミテッド、ユナイテッドアローズ。順不同)で、いずれも上場している企業だ。ワールドのみ、国際会計基準(IFRS)を採用している。ほかの8社は日本会計基準だ。ワールド、ユナイテッドアローズの決算期は2019年3月期。ほかの7社は、2019年2月期である。

増収・増益を達成したのは、ワールド、良品計画、パルグループホールディングスの3社のみで、過半数の企業は減益傾向だった。ユナイテッドアローズは増収だったが、経常利益が前年同期と同額という珍しい結果だった。減収・減益だったのは、オンワードホールディングス、アダストリア。損失を計上したのは、TSIホールディングス、レナウン。バロックジャパンリミテッドは決算期を変更している途上のため、純然たる比較はできないが、前年度の損失計上から一転して、利益を確保するに至った(表1を参照)。

ワールドは、今秋に再上場したことで資本の増強が進み、著しく財務面が改善した。自己資本比率が33.5%(20.9ポイント増)と大きく増加したほか、懸念材料だったD/Eレシオも、有利子負債の削減効果も絡んで、1.1倍(3.0ポイント減)と大幅に低下、改善が見られた。本業のブランド事業は伸び悩んでいる。投資事業など、ほかのセグメントで収益を確保した形だ。

各社ECビジネスが順調に伸びる

オンワードホールディングスは、主力の「婦人服」が売上高453億2,600万円(1.2%減)と苦戦した。「紳士服」は同139億4,500万円(4.2%減)と伸び悩んだ。一方で、ECビジネスが売上高113億7,700万円(31.4%増)と好調な推移だった。また、オーダースーツ「カシヤマ ザ・スマートテーラー」が、当初の予測を上回る推移で健闘した。

アダストリアは、店頭におけるプロパー販売が苦戦した。販管費の増加もあり、減益に至った。主力ブランドの「グローバルワーク」が売上高187億2,600万円(4.8%減)と苦戦した。「ニコアンド」は同151億2,400万円(11.1%増)と2ケタの増収を達成した。TSIホールディングスは、主力ブランドの「ナノ・ユニバース」が売上高114億5,300万円(7.3%増)と健闘した。販路別では、「EC」の売り上げが141億1,200万円(13.9%増)と2ケタの増収を達成し、123億3,100万円(14.3%減)だった「百貨店」を上回った。

レナウンは、主力の百貨店流通が苦戦した。メンズでは「ダーバン」が売上高18億7,600万円(12.1%減)と2ケタの減収だった。レディスでは、「エンスウィート」が同13億1,100万円(10.0%増)と2ケタの増収を達成したが、主力の「シンプルライフ」が同15億2,600万円(4.9%減)と苦戦した。

良品計画は、日本及び東アジアのビジネスが好調で、増収増益を達成した。地域別では、「国内事業」が売上高1,246億5,000万円(6.2%増)と堅調、「東アジア事業」が同585億7,300万円(15.8%増)と2ケタの増収を達成した。商品別(個別)では、「生活雑貨」が売上高814億100万円(5.7%増)と堅調で、全体のけん引役になっている。その中でも規模が大きいのは「ヘルス&ビューティ」。売上高260億1,400万円(19.0%増)と好調だ。主力商材の1つ、「婦人ウェア」は売上高214億2,100万円(16.0%増)と好調な推移だった。「紳士ウェア」も同91億8,900万円(21.4%増)と健闘した。

パルグループホールディングスは、ECが売上高68億5,400万円(37.5%増)と好調だった。主力は「ZOZO TOWN」で、同46億5,300万円(40.5%増)。規模は小さいが、自社サイトの「PALCLOSET」は同12億8,000万円(55.4%増)と健闘した。決算期の移行時期にあるバロックジャパンリミテッドは、国内の「マウジー」「エンフォルド」などがけん引役になり、経費削減も進んだことで利益を確保した。

ユナイテッドアローズは、収益が安定している。売上高、利益の額ともにほぼ前年同期比並みだった。単体の既存店売上高は107.1%(小売103.2%、ネット通販120.3%)で、ネット通販が引き続き、好調に推移した。「ユナイテッドアローズ オンラインストア」が約134%と2ケタの増収だった。主力の「ウィメンズ」が296億9,200万円(4.6%増)と堅調に推移。「メンズ」も同182億6,500万円(3.8%増)と堅調な推移だった。

(樋口尚平)

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