三陽商会
セレクトショップ事業が好調に推移
商品企画と接客サービスが強みに

update: 2015/04/22

「LOVELESS」ショップ（京都店）

三陽商会のセレクトショップ事業が好調に推移している。過去5年連続で売上計画を達成したほか、2015年1－3月の売り上げも2ケタ増で推移するなど、健闘が目立つ。商品企画と接客サービスが強みになっていて、中期5カ年経営計画（2014年～2018年）では、準基幹4事業の1つに挙げられているカテゴリーである。

中計では準基幹4事業の1つに位置付け

同事業部では、「LOVELESS」（ラブレス）および「GUILD PRIME」（ギルドプライム）の2業態を展開する。昨年5月に策定・公表された中期5カ年経営計画の中でも、準基幹4事業（「AMACA」「EVEX by KRIZIA」「TO BE CHIC」「LOVELESS」のオリジナルブランド）の1つに指定されている。

「LOVELESS」の姉妹ショップ
「GUILD PRIME」（大阪・梅田イーマ店）

「LOVELESS」の1号店は2004年7月にオープンした東京・青山店。4層フロアで面積848㎡の直営路面店である。その後も出店を続け、昨年8月にオープンした京都店（3層の路面店。面積は450㎡）で5店まで拡大した。中世ヨーロッパの古城などをイメージした重厚感溢れる内装が特徴で、ショップブランド「LOVELESS」のほか、買い付け（セレクト）商材も多く取り揃える（全体の約60％がセレクト品）。

今月16日には、「LOVELESS」の姉妹店舗「GUILD PRIME」を大阪・梅田に出店。同25日には仙台にも出店を計画している。仙台店を入れると「GUILD PRIME」業態も5店舗になる。両業態を合わせると10店舗の節目を迎える。中計の最終年度に当たる2018年度までに、両ブランドで計20店舗の出店を計画する。

大阪・心斎橋に「LOVELESS」（2010年9月オープン）を出店するが、昨年7－12月が前年同期比118％、今年1－4月12日までの推移が同110％強と好調に推移している。「GUILD PRIME」の出店に対する要望も高まっていた。

「LOVELESS」と「GUILD PRIME」の2ブランドが相乗効果

「LOVELESS」の重厚な内装（京都店）。
カジュアル寄りの「GUILD PRIME」と
住み分けを図っている

好調の理由は、商品企画と接客サービスが顧客に受け入れられている点。およそ40％を占めるオリジナル商材のほか、60％の買い付け品でも限定企画品を数多く揃えている。SNSを使ったブランド告知なども奏功し、効率良く顧客を呼び込めているようだ。

「LOVELESS」の主要顧客層は20－40代を中心とした高感度ファッションの愛好者。「GUILD PRIME」はよりカジュアルテイストで癖のあるラインナップが特徴で、10代後半の大学生からも支持を集めている。内装は「LOVELESS」をベースにするが、「GUILD PRIME」の方はやや軽めに仕上げているという。ちなみに「GUILD PRIME」は「LOVELESS」に至る入り口のショップ――入門編に位置付けている。

「LOVELESS」「GUILD PRIME」ディビジョンの鶴博幸ディレクター兼チーフバイヤーは両業態について、「（各業態に合わせて）適している取り組みをその都度、分けてやれるため、ブランドコンセプトがぶれない。良い関係になっていると思う」と説明する。カジュアル寄りの「GUILD PRIME」は「自由度が高いので、コラボ品がやりやすい」（鶴ディレクター）。展開する商品は「LOVELESS」と「GUILD PRIME」で重なるブランドもあるが（「LOVELESS」「GUILD PRIME」のオリジナルブランドなど）、「LOVELESS」がフォーマル寄り、「GUILD PRIME」がカジュアル寄りのテイストである。

今後のセレクトショップ事業について、中計の直営店の項に「LOVELESS事業の更なる出店の加速と売上規模の拡大」とある。「今の顧客を大事にすることが、新規客創出の基本」（鶴ディレクター）と語る。商品企画の充実と接客サービスの改善・向上を継続する。

（樋口尚平）