H&MGroup、2021年11月期連結決算
コロナ禍から回復、増収増益を達成
update: 2022/01/31
「H&M」などSPA業態の小売店を展開するH&M(Hennes & Maurits=ヘネス&マウリッツ)Group(H&Mグループ)の2021年11月期の連結決算は、コロナ禍の影響から回復し、増収増益を達成した。売上額は一昨年の2019年度(2019年11月期)を下回ったが、利益率は上回った。利益額は2018年度(2018年11月期)並みの水準にまで回復した。
利益率が伸張、2018年度並みの水準に
当期決算より、IFRS第16号の会計基準が適用されている。連結の売上収益は、1,989億6,700万スウェーデンクローナ(約2兆3,876億400万円、1スウェーデンクローナ=12円で換算)、6.4%増。売上総利益率(粗利率)は52.8%(2.8ポイント増)と回復した。販管費率が45.1%(3.3ポイント減)と減少したこともあり、営業利益は152億5,500万スウェーデンクローナ(約1,830億6,000万円、同)、392.3%増と大幅な増益を達成した。
同じく金融項目控除利益も、143億スウェーデンクローナ(約1,716億円、同)、596.9%増と大きく回復した。当期純利益は、110億1,000万スウェーデンクローナ(約1,321億2,000万円、同)、785.8%増となった(表1を参照)。
売上額はコロナ禍前の2019年度の実績2,327億5,500万スウェーデンクローナには届かなったが、営業利益率は7.7%(0.2ポイント増)上回った。利益額は2018年度の154億9,300万スウェーデンクローナの水準まで回復した。
総店舗数を削減、業態の再編を進める
地域別の売上高では、主力の「Europe and Africa」(欧州・南アフリカ)が1,324億3,400万スウェーデンクローナ(約1兆5,892億800万円、同)、3.1%増と堅調な推移だった。「North and South America」(米州)は402億2,900万スウェーデンクローナ(約4,827億4,800万円、同)、34.1%増と好調に推移。日本を含む「Asia and Oceania」(アジア・オセアニア)は263億400万スウェーデンクローナ(約3,156億4,800万円、同)、8.0%減と苦戦した(表2を参照)。
期末の総店舗数は、4,801店(217減)。前年度に引き続いて、減少している。2021年シーズンに100前後の新規店舗を出店する一方で、350店を閉鎖する計画に則った施策だ。「Europe & Africa」(欧州・南アフリカは2,884店(144減)。主力業態の「H&M」が4,242店(187減)と最も多く閉店した。「COS」は275店(16減)、「Monki」が98店(25減)と減少。「Weekday」は57店と変わらず。「ARKET」が24店(3増)と増えている。「Afound」は6店を全店撤退した。
財務面は比較的、安定している。流動性指標ではD/Eレシオの水準が1.1倍と高い数値。前年度よりは改善が進んでいる。利益率が回復し、課題だった収益力の改善が達成された。今期は新たに6つの新しい市場へ出店するほか、ECビジネスもベラルーシやコロンビアなどで展開する計画だ。
(樋口尚平)