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阪神梅田本店、建て替え工事完了の主要フロアが10月8日に先行オープン

update: 2021/10/07

《店頭レポート》

スペースを取り、 ブランドの世界観を発信(5階フロア)

スペースを取り、
ブランドの世界観を発信(5階フロア)

大阪・梅田の百貨店、阪神梅田本店が10月8日、建て替え工事を終えた主要フロアを先行オープンする。Ⅰ期棟を開業した2018年以来、Ⅱ期棟の建設工事を進めていたが、その大部分が完成し、先行オープンするに至った。低層階の飲食店フロア、中層階のレディスファッション、ライフスタイル雑貨が大きな特長だ。

3つのポイントを基にフロアを開発

フロア内での買い回りも想定している

フロア内での買い回りも想定している

当初からの「毎日が幸せになる百貨店」というストアコンセプトに変わりはない。Ⅰ期棟の営業で得た顧客ニーズの傾向も加味し、実験・検証を重ねてフロア構想をブラッシュアップした。今回オープンする主要フロアのポイントは3つ。1つ目は強みの“食”を強化した事、2つ目は体験・交流の場を設けた事、3つ目は「OMO」(Online Merges with Offline =オンラインとオフラインの融合)の深掘り、だ。

同店が強みにする食品では、1階に「食祭テラス」をオープンする。熱量の高いリピーターを想定し、「パン、お菓子、イベント」に商品を絞り込んだ。いわゆる“デパ地下”は従来通り地下1階で全面リニューアルオープンする計画だ(来春にオープン予定)。地下2階は新しいコンセプトで、「OLが気軽にはしご酒のできる」飲食店を集積した「バルゾーン」を開発した。

2つ目の体験・交流の場を提供する点では、各フロアにイベント・体感スペースを設けた。「サロン」が計9カ所、「イベントスペース」が計37カ所と充実している。これは3つ目の「OMO」とも連動しているが、リアル店舗の店頭で実現できるサービスと、オンラインでフォローできるサービスを効率、バランス良く提供しようという発想だ。

イベント、体験スペースも充実させた

イベント、体験スペースも充実させた

また、110人の「社員ナビゲーター」も「OMO」の取り組みの1つ。接客、販売ありきではなく、情報を発信しコミュニケーションを通じて店舗やナビゲーターのファンになってもらう事に重きを置く。マーケットを象徴する大きなトレンドではなく、小規模で複数ある顧客ニーズをとらえ、ナビゲーターをきっかけに“ヘビーユーザー”になってもらおうという試みだ。

アパレルはフロア全体の買い回りを意識

1階の「食祭テラス」で強みの食品をアピール

1階の「食祭テラス」で強みの食品をアピール

売り場面積は4万7,000㎡で、既存店舗と比べ11%小さくなっている(2014年対比)。うち食品関連は1万6,000㎡で23%広くなっている。来春のグランドオープン時には、全館で5万3,000㎡の売り場面積に拡大する予定。うち食品関連は1万8,000㎡、38%増となる。

従来型の百貨店では珍しく、壁面をガラス窓にして外から見えるようにしている。これは中が見えることで安心して来店しやすいよう心理的な圧迫感を緩和する狙いがあるためだ。また館全体の感度、感性を統一している点も特徴の1つ。同じ感性の顧客が縦と横の導線で買い回りすることを想定する。グループ百貨店の阪急うめだ本店では、特にファッション商材において、顧客が1つのフロアあるいは複数のフロアで共通の感性を持ったショップを買い回りするというMD構成を実施しているが、阪神梅田本店もそれに共通した点が見られる。

中層階のレディスファッションでは、テイストごと、アイテムごとでメリハリをつけた構成が特徴。2階は化粧品と雑貨類、3階はシューズ・バッグとウエルネス(健康)関連、4階はコンテンポラリー・トレンドファッション、5階はナチュラル系、6階はファミリーメンズ・ゴルフといった具合だ。インテリア関連を集積する7階には、今年12月をめどに「無印良品」も出店する。

各ファッションブランドのショップは比較的大きめのスペースで、ブランドの世界観を重視した作り。店頭でブランド観を感じてもらい、オンラインでも購入してもらうというOMOを活用したケースも想定している。前述したフロア全体での“買い回り”も念頭に置く。ハードとソフト、リアルとバーチャル、切り口の異なる要素を組み合わせて新しいフロアを構築した阪神梅田本店。来春のグランドオープン時には、どんな全体像が現われるのだろう。                                    

(樋口尚平)

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