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島精機製作所、2021年3月期 連結決算
長引くコロナ禍が影響し、減収・損失を計上

update: 2021/05/08

株式会社島精機製作所 代表取締役社長 島 三博 氏

株式会社島精機製作所
代表取締役社長 島 三博 氏

島精機製作所の2021年3月期連結決算は、長引くコロナ禍やアパレル業界の構造変革の影響を受け、大幅な減収・損失を計上するに至った。また、再度の反転攻勢を期して2023年度(2024年3月期)を最終年度とする新しい中期経営計画を策定した。

粗利率が大きく減少

2021年3月期 財務数値一覧(表1)

2021年3月期
財務数値一覧(表1)

連結の売上高は244億8,900万円(26.3%減)と2ケタの減収となった。売上総利益率(粗利率)は24.3%(10.7ポイント減)と大きく落ち込んだ。期中における39日間の金曜日操業の休止、および国外市場において価格競争の影響を受けたためだ。

販管費は減少したが、相対的に売上高が減収した影響で、営業損失91億4,300万円を計上するに至った。経常損失は72億7,300万円。本社や子会社の土地を中心とした減損損失を102億円計上した影響が大きく、当期損失は178億6,600万円と額が増加した。しかし含み損を一掃した形で、財務のスリム化が図れたと考えている。

2021年3月期 事業別売上高(表2)

2021年3月期
事業別売上高(表2)


財務面は極めて安定している。手元流動性資金が増加しているほか、自己資本比率も80%台をキープ。有利子負債も減少しており、D/Eレシオは無視してもいい低水準にある。実質、無借金経営だ。足元のビジネス──売り上げの回復がカギを握る。

セグメント別では、主力の「横編機」が売上高155億4,700万円(32.0%減)と苦戦した。横編機の販売台数は、4,705台(1,498台減)。うち「ホールガーメント®」が764台(262台減)だった。「デザインシステム関連」は25億800万円(30.5%減)。「手袋靴下関連」が19億6,900万円(86.8%増)と健闘した(表2を参照)。

新しい中期経営計画を策定

新「中期経営計画」数値目標(表3)

新「中期経営計画」数値目標(表3)

2020年度の決算開示と併せ、2023年度(2024年3月期)を最終年度とする新しい中期経営計画を策定、公表している。2023年度に売上高540億円、営業利益20億円、経常利益25億円を目指す計画だ(表3を参照)。

新中計における重点施策は4つ──①ホールガーメント事業の最強化、②ソリューションビジネスへの業態転換、③独自性を持った事業多角化への推進、④社会の変化に対応した経営基盤の再構築、である。中でも主力になるのは、①のホールガーメント事業の最強化。2023年度には、売上高540億円のうち、365億円を主力の「横編機」で構成する計画だ。世界的に“リンキング・ワーカー”の減少が続く中、差別化が期待できる無縫製編機「ホールガーメント®」の拡充に力を入れる。2023年度で横編機の販売台数目標は6,000-7,000台と予想するが、そのうちの約半分──3,000台程度を「ホールガーメント®」にするイメージだ。

「無縫製化のニーズに加え、(デザインセンターの知見など)洋服としての付加価値、プラスアルファを提供していきたい」(島三博 代表取締役社長)と意気込む。昨年7月以降は徐々に売り上げが復調傾向にある。新規分野への投資も含め、需要の回復をとらえて、反転攻勢に出る構えだ。

通期の業績見通しは、連結売上高280億円(14.3%増)、営業損失70億円、経常損失63億円。売り上げは回復基調だと判断しているが、コロナ禍などマイナスの影響が残ると分析している。                                    

(樋口尚平 )

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