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チュチュアンナ
モットーは「良・安・感・楽」
ブランド力を下支えするものづくりの現場
カギ握る「商品研究室」(後編)

update: 2014/01/21

池本正宏ゼネラルマネージャー

池本正宏ゼネラルマネージャー

2012年12月にブランド力向上を目的に、品質の管理やマーケティングの役割を担う「商品研究室」を新たに開設したチュチュアンナ。プロモーションだけではなく品質安定の体制づくりに本腰を入れ始めた。これまでは靴下とインナーウエアで別々に品質管理していたが、約1年前に「商品研究室」に一本化した(2014年2月1日より生産統括部に統合し機能強化)。今回はチュチュアンナの主力商品の両輪である靴下とインナーウエアを担う、靴下部の池本正宏ゼネラルマネージャーとインナーウエア部の仮屋尚宏ゼネラルマネージャーにお話を伺った。

品質だけでなく供給の安定化も視野に

同社のものづくりにおける品質安定に大きな役割を果たしつつあるのが、中国国内の各工場に与えられる「品質ライセンス制度」である。チュチュアンナの設けた独自のものづくりの基準を満たした工場に与えられるのがこの「品質ライセンス制度」で、現在(2013年11月時点)で認定を受けている中国工場は5社である。この制度ができたことによって「工場オーナーの品質に対する意識の持ち方が明らかに変わった」(池本マネージャー)という。工場オーナーの意識をさらに高める手段として、日本国内の自社展示会にオーナーを招聘する計画もあるという。実際の日本の商談風景を見てもらうことで自社のものづくりに誇りを持ってもらうとともに日本国内の空気感を感じてもらうという目的がある。このライセンス制度は毎年審査をすることで取り消される場合もあるし、認定を受ける工場数が増える場合もある。工場側の切磋琢磨の意識を高めてもらう狙いがある。

現在、「商品企画室」が果たす役割は品質向上と安定、技術指導、素材開発に関する業務がメインだが、今後は「供給の安定化にも取り組みたい」(池本マネージャー)考えだ。

日中の嗜好の違い

仮屋尚宏ゼネラルマネージャー

仮屋尚宏ゼネラルマネージャー

中国国内での販売店舗数も着実に増やしている同社だが、日中の消費者には大きな嗜好の違いもあるという。

「冬用の超厚手タイツは中国では売れるが、日本国内ではあまり売れない。靴下に使用される素材においては、日本は合繊混でも大丈夫だが中国は綿100%でないとダメ」(池本マネージャー)であり、これはインナーウエアも同様の傾向にあり「日本だと綿50%混程度でも十分だが、中国では綿80%以上でないと売れにくい。」(仮屋マネージャー)という状況にあり、中国人の綿嗜好が伺える。

また、中国の女性は常に“新しいデザイン”を求める傾向があり、前年の商品のリニューアルやブラッシュアップでは価値を認識してもらえず、購買に繋がらないという。

国内生産は継続。回帰の可能性も

靴下・インナーとも山東省・浙江省・遼寧省に工場があるが、中国国内の人件費高騰は確実に毎年続くため、今後コスト増にどう対応するかも課題の一つに浮上している。アセアンやバングラディシュ、インドなどの第三国への移転という選択肢のほか、さらなる中国の奥地の工場を開発するという選択肢もある。

池本・仮屋両マネージャーは「素材と染色の選択肢の幅は現在のところ、中国が抜きんでている」と口をそろえる。大ロットの定番品に限っては今後第三国や奥地に移す可能性も示唆する。

両マネージャーに共通するのは「品質管理はずっとやり続けることが重要」という強い信念であり、中長期的に現在の取り組みを続けるという同社の方針に則ったものだ。

同社は靴下の国内生産も一部継続しているが、付加価値商品への対応やトレンドへのクイック対応の用途で今後も国内での生産を続ける。中国国内の人件費高騰によって、第三国・奥地移転以外に国内回帰の可能性も見据えている。

(ファッションライター 南充浩)

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