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オンワードホールディングス「オンワードの働き方改革プロジェクト」──2年間の取り組みで具体的な成果が表れる

update: 2021/07/26

《企業レポート》

オンラインのトークイベントで 働き方改革プロジェクトの成果を語る 保元道宣社長(左)

オンラインのトークイベントで
働き方改革プロジェクトの成果を語る
保元道宣社長(左)

オンワードホールディングスがこのほど、2年前から取り組んできた社員の働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」の成果を公表した。働く環境の整備や効率化など組織運営上の改善にとどまらず、若手の積極起用で新ブランドの売り上げが伸びるなど、業績の向上にも貢献しつつある。

保元社長「中間管理職の理解と協力が得られた」

「既存事業の効率化、未来投資」を目的に、2019年8月から本格的に取り組んできた同社社員の働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」。業務の効率化が進まない、残業時間が減らない、上司と部下の間でスムーズな意思疎通が図れない──など仕事現場の課題を解決して、業績の向上につなげようという試みだった。

 目に見える成果として表われたのは大きく3点。1つ目は、IT機器を導入してオンラインによる書く部署内のスケジュール管理の共有=“見える化”を進めたことで、Eコマースビジネスの拡大や業績改善につながったこと。2つ目は、勤務体制の見直し。“ワークライフバランス”と呼ばれるもので、私生活と仕事の適切なバランスを追求する取り組みだ。組織を挙げて休日取得を奨励。2018年度と比較して、休日取得数が5日増え、残業時間が約11時間減った。また、男性の育休取得率も12.3%増加した。

3つ目は、ボトムアップ型のマネジメント体制の推進。上司の指示で動いていた従来の働き方を改め、現場から提案や実行案が出やすい仕組みに改めた。若手社員を積極的に起用し、新しいコンセプトのブランドを立ち上げ、売り上げも伸びていることも成果の1つだ(後述)。

7月19日に開催したオンラインのトークイベントで、同社の保元道宣 代表取締役社長は「中間管理職の理解と協力が得られた。(働き方改革プロジェクトを)やり続けてきたことが成果につながったのではないか。(上司と部下でなく)1人の社員(同士)として向き合える土壌が整ってきたと思う」と感想を語った。

若手の積極起用で新ブランドに活気

女性社員が主体となり SNSでファンを開拓するという 新しいコンセプトのブランド「アンクレイブ」も成果の1つ

女性社員が主体となり
SNSでファンを開拓するという
新しいコンセプトのブランド「アンクレイブ」も成果の1つ

同プロジェクトの成果は、働く現場の改善のほかにも成果を挙げている。本業であるファッションビジネスの強化にも貢献している。その1つの事例が、自社ECサイトのリプレース(置換)。「5年に一度の大きなリプレースを今年2月に実施した」(保元 社長)。全社の売り上げに占める比率はコロナ禍前の10%と比べて、30%まで高まった。業務改善の一環としてコロナ禍の発生前に決定していた施策だが、リスクヘッジに貢献した。

入社8年目の女性社員が主体となり、SNSを活用してファンを開拓するという新しいコンセプトのブランド「uncrave」(アンクレイブ)も成果の1つだ。SNSの1つ「インスタグラム」のフォローワーが3万人規模に達するなど、着実に顧客を増やしている。コロナ禍の前に立案した予算をクリアするなど、結果を出した新ブランドだ。

新ブランド「#Newans」(ハッシュニュアンス)でも新しい取り組みが進んでいる。いわゆる「D2C」(Direct to Consumer)をコンセプトにしたブランドで、始めから顧客とのつながりを重視している。このブランドも女性のリーダーが旗振り役。商品企画の中途段階で、気に入った製品を顧客に投票してもらい、生産量を決めるという珍しい取り組みもある。「ここまで本格的にやるのは初めて。今後はリアル店舗までつないで、顧客の声を形にするというブランドに育てたい」(保元 社長)という。

同社が強化ブランドに掲げるオーダーメードの「KASHIYAMA」(カシヤマ)では、現場の店長のアイデアで、SNS「TikTok」のフォローワーを増やし、オーダースーツの売り上げを伸ばした。「この取り組みは銀座店の店長の発案だった。私の元へ報告が来たのは、TikTokのフォローワーが200万を超えてから。これも素晴らしい働き方のデザインだと思う」(保元 社長)。

今後は、「ワークとライフのバランスの次は、シナジー(相乗効果)。我々の仕事は“生活文化産業”なので、はた目には遊んでいるように見えても、常に生活者の感覚を持っている必要がある。魅力のある商品やサービス(の開発)などにつなげていく必要があるだろう」(保元 社長)と考えている。                                    

(樋口尚平)

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