MENU
TOP > 業界ニュース > インタビュー 株式会社チュチュアンナ 代表取締役社長 上田利昭氏が語る 女性にフ...

インタビュー
株式会社チュチュアンナ 代表取締役社長 上田利昭氏が語る
女性にファッションインナーを提供する
「仮説と検証」繰り返し既存店を強化

update: 2012/11/01

上田利昭社長

上田利昭社長

レディスの靴下を主力商材にファッションアイテムを企画・販売するチュチュアンナ(大阪)。2012年7月期の決算は205億7400万円(前年比10%増)と増収を達成した(営業利益は非公表)。基幹商材の靴下やインナーウエアが貢献した。今期も売上高231億円(12.2%増)の2ケタ成長を見込んでいる。ここ数年、順調に店舗数と売上規模を増やしている同社。成長のカギは何なのか、創業者の上田利昭代表取締役社長に話を聞いた。

震災の影響は軽微、「タトゥータイツ」が売れ筋に

ヒット商品になった「タトゥータイツ」

ヒット商品になった「タトゥータイツ」

昨年は震災の影響も一時的に被ったが、11年春夏シーズンでは基幹商材の靴下(114%)やインナーウエア(102%)が好調に推移し、11年秋冬ではオーバーニーやカラータイツがけん引役になった。靴下関連では柄物アイテムが売れ筋で、いわゆる柄入りパンストの「タトゥータイツ」が人気を集めた。インナーウエアでは上下セットの室内着が売り上げに貢献。春夏の冷感商品、秋冬の防寒商品など機能性アイテムにも動きがあった。

「震災時には40店が被害を受けました。最長で1カ月から40日くらい閉店せざるを得ない店舗もありましたが、その影響は一時的なものでした。主力の靴下関連でパンストの『タトゥータイツ』が良く売れ、カジュアルブランドとして認識していただいたようです。市況は“エレガント・カジュアル”の流れだと分析していますが、売れ筋はそのトレンドを反映していると思います」

12年秋冬シーズンのテーマは「温かさの追求」。カラータイツや柄タイツ、機能性商材を含め、トータルで温まる商材を重点強化する。

インナー事業の強化で新ライン投入

今期(2013年7月期)の強化ポイントに「インナー事業の強化」「中国出店」「新業態開発」の3点を掲げる。

「インナー事業を“革新的に成長させる”のが目的です。それには商品面・サービス面・VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の3つが重要になってきます。1つ目の商品面では、キャリア・ヤングレディス向けの新ライン『エレガントライン』をスタートさせました。2800円・3800円とやや高めの上代設定です。パターンが重要で、ミセス・ミッシー層の“着心地”ではなく、身体のラインをきれいに見せる“寄せる・盛る”機能が求められます。造形美とでも言いますか、胸の谷間などをきれいに見せるインナーです」

「エレガントライン」は今春からスタートし、売り上げは徐々に伸びているという。今秋から3800円という高めのラインを投入。既存店の中にコーナーを設けて、キャリア層の取り込みを進めている。

「2つ目のサービス面は接客レベルの向上です。社内で「トレーナー制度」を導入し、常時、レベルアップを図っています。それに加え、3つ目のVMD強化では什器やPOP、飾り付けの検証を常に行っています。陳列方法を替える、靴下とインナーをつなぐ商材を新たに加えるなど仮説・検証・修正を繰り返しています」

中国は出店を加速

期末の店舗数は国内で202店、うち海外の中国が14店。今期は国内で10店前後の新規出店を目標にし、中期的には250店まで拡大する。中国では出店を加速し、上期で29店、今期末で38-40店、売上高31億円強まで拡大する。今後、年間40店ほどの出店を進め、2年後には120店舗まで規模を拡大する計画だ。

「出店立地はモールや百貨店が中心です。店舗数は期末で14店舗ですが、今後は出店スピードを加速し、店舗網を拡大します。商品は日本企画と現地向け企画の2本立てですが、地域による体格の違いや厳冬地向けの裏起毛商材なども展開しています。韓国や香港、台湾などから出店のオファーはありますが、そこまで手が回らない。まずは中国市場を開拓していこうと思います」

ミセス向けの新業態

上田利昭社長

上田利昭社長

3点目の新業態開発は継続して取り組んでいる施策だ。店舗のコンセプトや外観・内観の改良は現在も続けられている。今秋からおよそ40の既存店で、“ミセス層”向けの品揃えに比重を置いた売り場を展開し始めたが、これもその一環である。

「ミセス層の来店が多い既存店舗を40ほど選び、ミセス向けの商材を手厚くした新しい店舗として展開し始めました。店の名前は従来と同じ『チュチュアンナ』ですが、遠赤外線の裏起毛ソックスやレッグウオーマー、膝サポートなど、健康を意識した商材を取り揃えています。今秋から始めたばかりですが反応が良く、売り上げは10%以上伸びています」

また11月2日から、メンズのカジュアルソックスを既存132店でスタートする。元々レディスが専業だが、メンズ商材の展開は新規顧客開拓の試みでもある。「革新的進歩」がキーワードで、「同じことをやらないで、常に新しいことをする」(上田社長)ことが信条である。新しい試みは現場や社内の声を元にしているという。

「会社の基本路線に見合ったことを選びますが、基本的に従業員から(集まる改善案や新しい試みなど)の提案はすべてやります。挑戦して失敗しても罰はありません。新業態もその試みの1つです」

軸足はレディス

今秋からメンズ商材も展開するが、軸足はレディスにある。ホームウエアもインナーとコーディネートし、その世界観を提案する構想がある。

「メンズなど新しい試みも続けますが、やはり軸足は女性。今後も女性にファッションインナーを提供していきたいと考えています」

略歴 上田利昭(うえだ・としあき)氏 1945年、和歌山県生まれ。68年、株式会社ニチイ(現イオングループ)に入社。同社で5年半、靴下を担当。73年、独立し靴下卸業「有文商店」を始める。79年、株式会社チュチュアンナを設立、代表取締役に就任。2006年、営業事業本部長を兼務。現在に至る。

(ファッションライター 樋口尚平)

MIMAKI ドミンゴ シキボウ BROTHER ミズノ株式会社 ダンス ウィズ ドラゴン かまだプリント株式会社 ペガサス 株式会社デサント シマセイキ ゴールドウイン 豊和株式会社 ビッグジョン