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島精機製作所 東京プライベートショー
世界のニット化
幅広い産業での活用とサスティナブルな技術でニットの可能性が広がる

update: 2019/08/02

会場の様子

会場の様子

島精機製作所が東京・青山で東京プライベートショーを7月30日、31日に開催した。このプライベートショーは今年6月20~26日の7日間、スペイン・バルセロナで開催された国際繊維機械見本市(ITMA)2019に出展し、そこで披露した最新の横編機やデザインシステムの新機種、600点ものニットサンプルを国内でも見ていただこうと開催されたものだ。

ファッションだけでなく、 様々な分野でニットが活用できること提案。 驚くような使い方ができることを 知ることができた。

ファッションだけでなく、
様々な分野でニットが活用できること提案。
驚くような使い方ができることを
知ることができた。


ITMAとは4年に1回、欧州で開催される世界最大の繊維機器総合見本市であり、業界内では「繊維機器のオリンピック」と呼ぶ人もいるイベントだ。ITMA2019で同社は「KNITify the World」を出展コンセプトに、世の中のあらゆるモノづくりに対し、「ニット」という選択肢を提案した。特に昨今のアパレル業界は世界規模で「サスティナビリティ」が謳われている。その点において、裁断時のカットロスが出ない成形編みや必要な分の糸しか使わないホールガーメント®での生産を検討してみるという提案を行った。

それはファッションアイテムだけに限らず、スポーツ、メディカル、ウェアラブルテクノロジー、インテリアだけでなく、自動車や航空宇宙はじめ、あらゆる産業資材にまで横編みの技術対応できることを提唱。「KNITify the World」を直訳すると「世界のニット化」というように、あらゆる分野においてのニットの可能性を伝えた。

様々な分野で活躍できる
ニットの可能性

インレイ編みなら 光ファイバーが折れることを気にせず、 編みこむことができる

インレイ編みなら
光ファイバーが折れることを気にせず、
編みこむことができる


インテリアにおいては、熱で溶けやすい糸を使い、粗目に編んだニットの中に風船を入れて膨らませ、熱を与え成形し冷やして硬化させてランプシェードにしたり、立体的に編んだニットに熱を加え冷まし硬化させることで壁紙にしたり、ニットとは思えないような素材を作ることができるという。

既にシューズメーカーで展開している ニットパンプス。革などの靴とは違い、 無駄な切れ端が出ないのが 大きなポイントになる。

既にシューズメーカーで展開している
ニットパンプス。革などの靴とは違い、
無駄な切れ端が出ないのが
大きなポイントになる。


また、インレイ編みの技術を使い、光ファイバーを入れることでアートや照明装置として利用できる可能性も紹介。

ファッション雑貨では、最近になって店頭でも見かけるようになったニットシューズ、ニットスニーカーなども、さらに技術が向上し、デザイン性の高いものが作れるようになった。

デニム風のニットワンピースは 切り替えがデザインのポイントだ

デニム風のニットワンピースは
切り替えがデザインのポイントだ


ファッション分野ではデニム風のニットやテーラードジャケットデザインのニット、スポーツ衣料など、組織と素材の組み合わせ次第で、デザインは無限大に広がっていくことを実感させた。
さらに、細かいパーツが必要な自動車の座席シートもニットで作れば、そういったパーツを作成する手間が省けるという提案など、あらゆる分野でニットを活用できるというヒントを与えるコーナーを展開していた。

横編機メーカーから
デザインソリューションプロバイダーへ

インレイ編みの技術で 中綿入りのニットも簡単に作れる

インレイ編みの技術で
中綿入りのニットも簡単に作れる


ITMA2019の会場で最も評判が高かったのはデザインシステムの新機種として展示した「MAD2FIT」と「SDS-ONE APEX4」だ。

「MAD2FIT」は同社の技術を用いた新しいマスカスタマイゼーションの提案で、従来のS、M、Lサイズの展開では対応できない消費者に対し、気軽にカスタマイズを可能にする仕組みになっている。

「MAD2FIT」のデモンストレーションを聞き入る人たちが多かった

「MAD2FIT」のデモンストレーションを聞き入る人たちが多かった


例えば、同じ身幅だが身長が違う際、従来ならMサイズを選ぶしかなく、着丈が合わないということがあるが、「MAD2FIT」は予めメーカー側が従来のサイズ展開に加え、身長別のデータも入れ込むことで、よりその方の体型に合ったサイズを提案し、受注生産することができるという。

「SDS-ONE APEX4」は各ブースで使い方をデモンストレーション

「SDS-ONE APEX4」は各ブースで使い方をデモンストレーション


さらに、着丈、袖丈など、お客様の好みに応じたカスタマイズもオンラインサイトに組み込むことができ、注文が完了するとコンピューターで繋がっているホールガーメント®横編機が生産を始める。

しかも、幅や長さの調節だけでなく、バストダーツといった立体感までカスタマイズが可能になっている。

「SDS-ONE APEX4」は3Dデザインシステムの最新機種として展示。前のAPEX3よりも最大で6倍の処理速度を実現し、よりリアルで高精細なシミュレーションを高速で行い、プログラミングも容易化している。 これにより現物サンプルを制作する代わりにバーチャルサンプルでデザイン確認が行え、これまでサンプリングに必要だった時間や費用を大幅に削減することができるだろう。


さらに参考として、APEXシリーズのバーチャルサンプリングに使用する糸のデジタルデータを検索、ダウンロードできるWEBサイト「yarnbank(ヤーンバンク)」も出品された。

これまでバーチャルサンプリングにはメーカーが使いたい糸をスキャンしてシミュレーションをしていたが、ヤーンバンクがあればその手間も一切省け、糸メーカーにとっては新しい販促手法になると期待されている。

すでに国内外11社の糸メーカーが参加を表明しており、今後も参加企業が増えていくことが予測されている。


ITMAも今回のプライベートショーも特に人が集まっていたのは「MAD2FIT」や「SDS-ONE APEX4」など、デザインソリューションのコーナーで、来場者が詳細を聞きこんでいる様子が見られた。この2日間で約600社、1100名が来場した。
この数年はでホールガーメント®横編機の話題が大きく取り上げられ、注目されてきたが、同社は早くから横編機に付随するデジタルデザインシステムの開発に取り組んできていた。この展示会ではデザインソリューションの面が業界でもかなり注目されているのを証明しているように感じた。

(ファッションライター 苫米地香織)

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