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チュチュアンナ、上田利昭 代表取締役社長
2015年度、国内外ともに堅調で増収を達成
インナー事業が第2の柱に成長

update: 2015/11/11

チュチュアンナ、上田利昭社長

チュチュアンナ、上田利昭社長

レディスの靴下やインナーを展開するアパレルメーカー、チュチュアンナ(大阪市)。2015年7月期(37期)は売上高271億5,500万円(110.7%)と増収を達成した(非上場のため、営業利益は非公表)。国内外ともに増収を達成した。強化ポイントに掲げていた海外事業も順調に伸びてきた。前期(37期)を振り返るとともに、今期の取り組みについて、上田利昭社長に話を聞いた。

国内は堅調、海外は中国市場が続伸

売上高271億円の内訳は、国内事業が243億6,800万円(107.3%)、海外事業(中国、台湾)が27億8,700万円(154.1%)といずれも好調な推移だった。期末(7月31日時点)の店舗数は426店(出111、退18)。国内が234店(出26、退10)、海外が192店(中国が82増、8減。台湾が3増)。スクラップもあったが、全体では増加した。中国市場は当初、2016年までに120店という中期計画を立てていたが、予想を上回り188店(期末時点)、台湾は4店舗にまで拡大した。

「中国ビジネスは2年前の見立てと比べて現実が異なっていました。思った以上にニーズがあり、現地小売店からの出店オファーも想像以上でした。予測よりも出店余地がありました。今期からは、現地企画の商品比率を売り上げの30%まで高める計画を立てています。現地スタッフと意見交換しながら、市場ニーズに合致した商材を投入していきます」

中国市場は日本市場と同じく、百貨店から急速にショッピングモールの勢力が拡大しているという。国内同様、「チュチュアンナ」の店舗展開には追い風になっているようだ。

「中国国内でショッピングモールが増え、日本と同じようにメンズやキッズを含めたファミリー商材が必要になっています。しかし商業施設は過剰供給気味で、国内の需要も減っている。売り上げも70-80%くらいにトーンダウンしています。今後は効率性も考え、地に足の着いた地道な出店計画が必要です。出店は順調に進んだが、このニーズは本当のものなのかどうか、見極めるべきでしょう」

「3年目に入る台湾ビジネスは足場固めの段階です。現在4店舗を展開していますが、インナーを中心にパターンの改善、デリバリー体制の整備なども課題として残っています。今期(2016年7月期)は出店を抑えて、営業体制を整えます。来期(2017年7月期)以降に出店を加速させたいと考えています」

コスト削減を継続、新業態開発も模索

主力の国内事業は、主力の靴下が169億1,000万円。インナーが売上高102億5,000万円と第2の柱に育ってきた。「運命のブラ」が発売最初の1週間で1万枚を突破するなど、大きなけん引役になった。今期は新商材の「永遠のブラ」を武器に売り上げの拡大を狙っている。

インナーで新たに投入する 新ブランド「永遠のブラ」

インナーで新たに投入する
新ブランド「永遠のブラ」

「前期の取り組みテーマの1つがインナーの強化でした。主力商材として力を入れた『運命のブラ』がけん引役になってくれました。今期は新商材『永遠のブラ』も展開していきます。また、ブラとショーツで5,400円という高品質ラインの『プレミアムライン』も投入していきます」

懸念材料は円安傾向によるコスト高である。上代設定は変えていないため、売上総利益率(粗利率)は減少傾向にあるというが、売上額の増加で粗利額を確保している構造だという。その一方で、消化率は少し改善したようだ。

「円安、コスト高に加え、消費者のニーズが多様化し、トレンドサイクルも短くなっています。しかも商品が過剰供給にあるので、なかなか難しい市況だと思います。消費者マインドはまだデフレだと思います。品番数や工場を集約する、発注数量を集約するなど、可能な限りの企業努力は続けています。また、素材の見直しにも取り組んでいます」

キャリア層の開拓に注力

今後は、キャリア層に力を入れていく。従来、ヤングを強みにしている同社だが、さらに顧客層の幅出しを進める。これは主力の靴下事業、インナー事業に共通した強化ポイントだ。

「キャリア強化については、お子様のおられないキャリアやヤングミセスも対象にしています。当面は売上比率10%(現状3%)を目指しています。また、キッズ靴下も評価が高いため、テイストの幅を広げていきたい。郊外型ショッピングモールにおけるファミリー対応も求められている。ここでは“機能性”がキーワードで、抗菌・防臭がその主なものです。従来の都市型店舗と郊外型店舗で、新業態の開発も含め、MDを分けて展開していきます」

「海外の店舗展開は足場を固める段階ですが、日本国内でもみだりに出店するつもりはありません。当初は国内で250店舗(現在234店)が目途だと考えていたのですが、マーケットも大きくなっているし、ターゲット層を広げていることもあり、今では350店規模まで増やせる余地があるのではないかと考えています」

略歴 上田利昭(うえだ・としあき)氏 1945年、和歌山県生まれ。68年、株式会社ニチイ(現イオングループ)に入社。同社で5年半、靴下を担当。73年、独立し靴下卸業「有文商店」を始める。79年、株式会社チュチュアンナを設立、代表取締役に就任。2006年、営業事業本部長を兼務。現在に至る。

(樋口尚平)

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