島精機製作所、ホールガーメントを出展
「宙博(ソラハク)2010」の宇宙船内服
update: -0001/11/30


ホールガーメントで編み上げた島精機製作所の宇宙船内服を展示「宙博(ソラハク)2010」より
「宙(そら)から始まる環境エネルギー革命」をテーマに、先ごろ、「宙博(ソラハク)2010」が開かれた。地球環境や経済、社会が閉塞するなかで、再び宙(そら)に目を向け、新しい科学や技術を通して、次世代への扉を開こうと呼びかけている。いわば、宇宙を探求することで暮らしに役立つ科学技術も育つという考え方だ。会場内は、極小世界から宇宙のナゾの解明まで、6つのテーマから構成されている。そのひとつ、「宇宙を暮らしに役立てる」というテーマの中では、暮らしを便利にしたり、豊かにしたりするための宇宙開発として「近未来宇宙暮らしユニット」が紹介されていた。展示参加企業は、㈱ゴールドウイン、J-space、㈱島精機製作所、東レ㈱の4社。日本女子大の多屋教授をリーダーとする同ユニットは、1999年に宇宙の生活の調査を開始して以来、宇宙での暮らしを安全で、より快適にするための製品を研究開発、その活動成果を展示した。なかでも目を引いたのが、実際に宇宙飛行士が着用した宇宙船内服だ。2008年3月に土井隆雄宇宙飛行士が着用したポロシャツや、ラグビージャージタイプの長そでシャツ、そして、今年4月、山崎直子宇宙飛行士が着用した青のカーディガンなど、いずれも島精機製作所がホールガーメントで編み上げたもの。脇などに縫い目がないため従来のものより5%ほど軽く、フィットしやすく、動きやすいというホールガーメントの特長がそのまま宇宙船内服にも活かされ、快適な着用感を表現した。来場者は興味深そうにホールガーメントの感触を確かめていた。ちなみに、同ユニット内で培われた宇宙下着技術のスピンオフ下着が先日のチリ鉱山落盤事故の被災地へ支援物資として届けられたのだという(ゴールドウイン)。その下着が現地で高く評価されたことは記憶に新しい。こうした宇宙船内服や宇宙下着の技術は、今後ますます多分野に応用され、商品化されていくだろう。そして、そういった取り組みにスポットを当てることは、次世代のファッション産業を育てることにもなりえるのだ。
(有限会社ビジョンクエスト・田中千賀子)