「ピエリ守山」が全面リニューアルオープン
外資系カジュアルファッションブランドを集積
update: 2014/12/17
不動産開発を手掛けるサムティ(大阪市)と双日商業開発(東京都)が共同で管理・運営する郊外型商業施設「ピエリ守山」(滋賀県守山市今浜町)が12月17日の全面リニューアルオープンに至った。ニューファミリー主体のコンセプトに刷新し、外資系カジュアルファッションブランドを集積することで、差別化を図ろうとしている。滋賀県初出店のテナントを42店、関西初出店を10店導入し、独自性を出した。
「廃墟」と言われた商業施設
同施設は空きテナントが多数を占めていたため、一部のエンドユーザーから「廃墟」と呼ばれていた。2008年9月のグランドオープン時に発生した「リーマンショック」をきっかけに、所有予定だった企業が破綻。その結果、リーシングやテナント開発が後手に回っていた。昨年9月、サムティが他企業と合同で同施設を所有することになり、ようやく改装計画が動き出した。
グランドオープンに先駆けて開催された記者会見で、サムティの不動産本部、大川二郎 不動産事業部長は、「コンセプトは一から作り直した。リーマンショックや周辺の競合施設の攻勢もあり、苦戦していた施設だが、ファストファッション(=外資系カジュアルファッションブランド)から出店の内諾を得たこともあり、全面リニューアルに踏み切った」と経緯を説明した。
立地は琵琶湖東岸のほとりで、すぐそばには湖西へ抜けられる琵琶湖大橋がある。電車では不便だが、自動車によるアクセスは比較的容易だ。店舗面積は約4万4,000㎡で、2フロアの構造。テナント数は約140で、来春オープンする店舗も数店含まれる。売り場は両端にアンカーテナントを配置したサーキット型で、2核1モールの体裁を採る。想定する商圏は、一次(車で20分圏内)が6万6,000世帯(16万6,600人)、二次(同20-60分圏内)が約7万世帯(約19万4,000人)。
メーンターゲットはニューファミリー。通常は集客力の高い大型店を両端に設置するが、今回は新しい発想で、外資系カジュアルファッションブランドを施設の中央付近に集約した。「H&M」「ZARA」「Stradivarius」「Bershka」「GAP/GAP KIDS」「OLD NAVY」など計6店を集積。いずれも滋賀県初出店である。うち、「H&M」と「ZARA」はいわゆる“メゾネット”で、店内を移動できる2フロア構造。導線も増やし、回遊性を高めている。施設全体でも出入口を新たに5カ所作った。
出店テナントは意欲的
外資系カジュアルファッションブランドを中心に、出店テナントは意欲的だ。ある外資系カジュアルファッションブランドの担当者も、「日本において、1つのモールに(外資系カジュアルファッションブランドが)これだけ集まっている商業施設は珍しい」と感想を語る。一度、閉鎖されたハンディのある施設だが、滋賀県初出店で、外資系カジュアルファッションブランドにとってはコンペティターが一カ所に集積している商環境が魅力的だと判断したようだ。また、1店舗当たりの面積も広く、トータル展開できる点もメリットである。
双日商業開発の近藤哲生 取締役も、「店舗面積の広さを生かし、ニューファミリー向けの商材をトータルに展開することができる」とその利点を説明する。中でもINDITEXは「ZARA」「Stradivarius」「Bershka」と3業態を展開。「H&M」も、モール店舗では国内最大級だという。立地や同施設の経緯を除いて考えれば、非常に興味深いテナント構成である。
年間の売上高目標は150億円。4万4,000㎡の規模に比して控えめだ。施設周辺にフットサル場やアスレチック施設(来春開業予定)を配置して、時間消費型のモールにしようという狙いもうかがえる。
今後は運営・リーシング共に双日商業開発が担当するが、テナントがすべて揃う来春までは共同で運営するという。サムティの大川部長は、「140テナント規模のリニューアル物件を手掛けるのは初めて。うまく行けば、ほかの施設も手掛けたいが、まずは『ピエリ守山』を成功させることが最優先だ」と取り組み課題について語った。
(樋口尚平)