シキボウ ミドル脂臭対策加工「スーパーアニエール® M」
幅広い分野から期待集まる
update: 2015/06/04
シキボウが2016年春夏シーズンからの本格展開を計画している新しい加工技術「スーパーアニエール® M」。30-40代男性に多い“ミドル脂臭”をはじめ、汗臭や加齢臭をトータルに消臭する新しい加工技術で、化粧品メーカー・マンダムとの共同取り組みで開発した。16年春夏展示会でも好評で、担当者も手応えを感じている。
オールマイティーな消臭機能
「スーパーアニエール® M」は各世代で発生しやすい各種の臭いを幅広く消臭する機能を持つオールマイティーな加工技術だ。同社の消臭技術の歴史は長く、約20年前から種々の機能を研究・開発してきた。
消臭に対する意識が急速に高まってきたのは約5年前のこと。身だしなみの1つとして消臭が注目されるようになり、男性の体臭を消す素材や技術開発が盛んになった。約2年前、マンダムが30-40代の男性に特有の臭いを発見。ジアセチルという物質がその正体であることを突き止め、“ミドル脂臭”と名付けた。特に女性に強く認識されるそうで、男性にとってミドル脂臭の消臭は切実な課題といえる。
シキボウもこの新しいミドル脂臭にいち早く注目。マンダムと共同で、ミドル脂臭を消臭する加工技術の開発に着手した。マンダムはミドル脂臭が出ないよう予防する化粧品を開発しており、そこでシキボウは出てしまったミドル脂臭を消す技術の開発を目指した。
約1年かけて、加工技術を確立
“ミドル脂臭” の正体であるジアセチルは、ほかの臭い成分と比べ少量でも臭う性質があった。効果のある剤もなかなか見つからず、「ジアセチルの消臭加工という課題は非常にハードルが高かった」(シキボウ、辻本裕 開発技術部長 兼 商品開発課長)という。
様々な剤を試して、ようやく満足のいく加工技術を確立するまで約1年がかかった。「マンダムからミドル脂臭の成分などアドバイスをもらい開発を進めた。できるだけ早く実現させなければと思い、開発スタッフが集中して取り組んだ」(辻本 部長)。
加工方法は、後加工で消臭機能を付加する。ニットなど編み組織に向いており、肌に触れることの多い肌着やポロシャツなどが適している。対象になる素材は、綿100%のほか、ポロなどでは綿50%以上のポリエステル混など。30回の洗濯後も機能性を保つ。
展示会ではアパレル製品のほか、枕など寝装品への関心も高かったようだ。ミドル脂臭が後頭部あたりを中心に発生するため、特に枕カバーなどへの採用が期待できる。初年度は売上高1億円を計画。3年後に3億円を目指す。「『スーパーアニエール® M』の『M』には、マンダム、ミドル、メンズ、(同社の社標に使われている)マーメイドなどの意味を込めた」と辻本部長。今後の最重要技術に位置付ける。
(樋口尚平)