オンワード
セレクトショップ「オープニングセレモニー」が関西初出店
“デジタル”、“アート”と“ファッション”の融合がテーマ
update: 2014/09/05
オンワード樫山が展開するセレクトショップ「OPENING CEREMONY OSAKA」(オープニングセレモニー)が8月30日、大阪・梅田のファッションビル「ヌー茶屋町」(大阪市北区茶屋町)の2階フロアにオープンした。関西地区初出店で、店舗面積は230坪。同施設の2階フロア全面を使用した売り場は、プログラマーやエンジニアなどで構成するテクノロジスト集団「teamLab」(チームラボ)と協業した新しい試みが随所に取り入れられている点が特徴だ。
「楽しい体験を提供する」
茶屋町は大阪の一大商圏・梅田の一角にある区画で、ターミナルの要素を持つ大阪駅の東側に位置する。比較的ヤング関連のショップや商業施設の多い場所だが、「ヌー茶屋町」はやや上の年齢層、30代辺りのセレクトショップ関連のブランドを好むファッション愛好者をメーンターゲットにしてきた。今回の「オープニングセレモニー」はさらに幅広い客層── 高感度なファッション愛好者を対象にする。
「オープニングセレモニー」は2002年、米国のオープニングセレモニー社がマンハッタンにオープンした高感度セレクトショップで、日本ではオンワードが東京・表参道、ルミネ新宿店2(2店舗)、渋谷パルコPART1にそれぞれ店舗を展開する。大阪店は国内5店目で、「新しいショッピング体験」という同店独自のコンセプトを掲げた。
オンワードのクリエイティブオフィサー、三宅英木(みやけ・ひでき)OPENING CEREMONY事業本部長は同店について、「チームラボとのコラボレーションで、楽しい体験を提供するショップに仕上げた。同チームがこの店のためにゼロから開発した映像提案が特長。物販と映像とのコラボショップにおいて、顧客の動きを検証する目的もある」とそのコンセプトと狙いを説明した。
チームラボの作品は人の動きに感応して随時、画面や壁に投影された画像が変動する機器で、各コーナーでその表現手法が異なる。店舗入り口に配置された大画面には、“空書”(くうしょ)と銘打たれた「チームラボ」の作品(映像)を流している。一見して統一性のない筆書きの動画が徐々に店名の「オープニングセレモニー」へ変化していくという内容だ。
レディスのコーナーでは、ハンガーに吊るされた商品を手に取ると、目の前の画像にその詳細と動画が流れる「チームラボハンガー」を設置。4つの画面で構成され、“ミラーボール”を模した。映し出される映像は、ファッションモデルの水原希子と協業したもので、計30型をラインナップした。このほかレディスコーナーには、フィッティングルームへ連絡する通路にもチームラボの作品「フラワーウォーク」を採用。人が連絡通路を歩くと、その動きに合わせて床に投影された“花びら”が散る仕掛けだ。
メンズコーナーには「チームラボカメラ」を設置。このカメラで撮影した自身のコーディネートがすぐに「オープニングセレモニー」のフェイスブック上にアップされる仕組みで、レディスコーナーのフィッティングルーム横にも設定されている。SNSと店頭を直につなぐ新しい試みである。
また、レジすぐ横で展開する電子関連機器を集めた「テックコーナー」は初展開。同コーナーと隣接して、「インプレッションウォール」も設置している。画面がはめこまれたウォール(壁)の前にアパレルが並べられており、手に取るとその動きに反応してウォールの映像が変化する仕組みだ。一番大きな映像提案が、ショップ中央に設置された「スケッチウォール」。画面近くに手をかざすと音と共に反応し、ダイヤモンドに模した立体が変化する。1-2か月後をめどに、同ウォールでアルファベットを表示し、その画像をTシャツにプリントして顧客に販売する計画も検討中だ。
大阪独自の店内構成に
商品ラインナップは大阪の地を考慮し、「派手なアイテムを揃えた」(三宅本部長)。アパレルで初展開のブランドはないが、トートバッグやTシャツなど一部、同店限定のアイテムを置く。商品の構成比率はレディスが70%と主力で、メンズとライフスタイル系アイテムがそれぞれ15%。アパレルを主体にシューズやバッグなどの雑貨類を置き、トータルに展開する。
「チームラボ」との協業のアイデアは、大阪店の立地条件も影響したようだ。「ヌー茶屋町」は大阪駅から少し距離があるため、強力な来店動機── 店舗のアピールが必要だった。そこでたどり着いたのが“デジタル”だったという。「(チームラボとの協業という)日本初と業界初の取り組みを一緒にやりたかった。マーケットが驚くことをやりたかった」(三宅本部長)。今後、出店を計画している店舗も独自の構成になる予定だという。
物販の店舗で、より“楽しい体験”を重視したコンセプトの同店。修正点も出てくるだろうが、今後の新しい店舗のひな形になることは間違いない。
(樋口尚平)