「あべのハルカス近鉄本店」がグランドオープン
update: 2014/02/22
大阪・阿倍野地区の複合商業施設「あべのハルカス」の核テナント、あべのハルカス近鉄本店が2月22日に全館オープン。3月7日には展望台やサービス施設などが開業し、「あべのハルカス」がいよいよグランドオープンを迎える。
フルターゲットの新生・近鉄本店がお目見え
2月22日のグランドオープンには、ヤングレディスを対象にした「solaha」(ソラハ)がしんがりで登場。6つのテイストに分けたフロア構成で、10代後半から20代後半の女性を対象にした一味異なる百貨店ファッションを提供する。「solaha」は先行オープンしているフロアともつながっていて、百貨店の次世代顧客を発掘、開拓する狙いも含んでいる。
百貨店売り場にファッションビル的な発想で専門店のテナントをそのまま取り込んだフロア構成は、大丸松坂屋百貨店の「ウフフガールズ」が嚆矢だろう。しかし、あべのハルカス近鉄本店は全フロアの40%を専門店で構成しており、「ウフフガールズ」よりもさらに規模が大きい。中でも、従来の百貨店売り場から脱却し、思い切ったフロア構成や内装に仕上げたのが「solaha」。「百貨店に見えないフロアを意識した」(尾原謙治・執行役員新本店準備本部長)「solaha」は、同店の本気度がうかがえる売り場だ。
昨年6月から、五月雨式に各フロアをオープンしてきたあべのハルカス近鉄本店。その影響があり、残念ながら、当初の売上目標には達していない。稼働していないエスカレーターが多く、想定した回遊性が発揮・確保できなかったためだ。メンズフロアなど、堅調なフロアもあるが、スポーツやレディスの売り場などはこれから認知度を高めていく段階である。
時間消費型、情報発信型の百貨店を目指しているあべのハルカス近鉄本店。以前もフルターゲット型の売り場構成だったが、建て替え・増改装オープンを経て、その姿勢がより鮮明になった観がある。旧店舗では、「ラ・セレナ」という10代後半から20代前半辺りのヤングレディスを対象にしたファッションビルが、同じ棟で連絡していた。今回の「solaha」もそのイメージやフロア構造を参考にしたようだ。
「solaha」は主要なファッションテイストを網羅
あべのハルカス近鉄本店の目玉の1つ、「solaha」はフルターゲットの近鉄本店らしく、ヤングレディスが求めるニーズを6つのファッションテイストに分け、総花的に網羅している。前出の「ラ・セレナ」は渋谷109系のセクシー路線のレディスブランドが主流だったが、「solaha」はそれと正反対のナチュラル系ブランドの集積もある。
もう1つの特徴として挙げられるのが、非アパレル商材が多い点。フロア構成比では、主力は60%のアパレルだが、化粧品や生活雑貨などの非アパレル商材が40%を占めている。「ラ・セレナ」を拡大解釈し、さらに非アパレル商材にまで取り扱いの幅を広げた点が、「solaha」の特徴の1つだろう。
「solaha」が扱う6つのテイストは、セクシーテイストの「パープルエリア」、OL向けファッションの「ブルーエリア」、エレガンス系の「ピンクエリア」、ナチュラル系の「グリーンエリア」、ストリートカジュアル系の「イエローエリア」、スタイリッシュ系の「アッシュエリア」である。全国初、西日本初、関西初、阿倍野地区初といったテナントを散りばめながら、105店、1万1,000㎡の規模で展開する。
こうして見てくると、あべのハルカス近鉄本店は元々あった強みをさらに強くした店舗に生まれ変わったと考えることができる。あとは、顧客がどう評価するか、である。
(樋口 尚平)