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チュチュアンナ
モットーは「良・安・感・楽」
ブランド力を下支えするものづくりの現場
カギ握る「商品研究室」

update: 2013/12/02

女優の小島藤子さんを起用したTVCMのワンシーン

女優の小島藤子さんを起用したTVCMのワンシーン

靴下・インナーの専業メーカー、チュチュアンナ。若い女性を中心にファンを広げ、今ではお隣の中国にも進出し、日本と併せ270店を展開するまでに業容が拡大した。綿密な市場のトレンド調査や店頭の販売員の意見・アイデアに基づいた商品企画が、女性ユーザーの心をつかんでいる。ブランド力の構築には認知度向上を目的にしたプロモーションも欠かせないが、ユーザーが最も「チュチュアンナ」を身近に感じるものは商品である。同社では昨年12月、品質の管理やマーケティングの役割を担う「商品研究室」を新たに開設し、ブランド力向上につながる品質安定の体制づくりに本腰を入れ始めた。

プロモーションと品質重視が両輪に

執行役員 営業事業本部 MD統括 兼 商品研究室室長 国府田優氏

執行役員 営業事業本部 MD統括
兼 商品研究室室長
国府田優氏

チュチュアンナは今秋、さらなるブランド知名度向上を目指して、テレビCMや雑誌、交通機関の車内広告を通して本格的にコミュニケーション活動を展開し始めた。9月のシーズンの立ち上がり時に続いて、11月が第2弾となる。9月の販促活動により、同社の靴下に対する認知度が5ポイント高まり50%に達したという。

ヤングレディスを主な顧客層にしていることもあり、各種媒体を通じた継続的なプロモーションは拡販の大きなカギを握る。靴下というアイテムをファッションブランドとして打ち出すには有効な手段になる。しかし、それだけではブランド力の維持・向上は期待できない。創業以来、こだわってきた“安定品質”もブランド力を裏付ける欠かせない要素の1つだ。

「どうすれば安定した品質を保つことができるのか…」。この永遠の命題を解決するべく新設されたのが「商品研究室」である。以前から品質の安定・向上には力を入れてきた同社だが、社内外へその姿勢を強く発信する思いも込めて昨年12月、新たに設置した。同室が受け持つ仕事は2つ。「1つ目は品質の安定・向上のため工場のレベルアップを目指すこと。2つ目は市場や競合他社の動向を常に調査しながら今と将来お客様がほしいと思えるものを予測し、見極めるマーケティングの役割を担う」(国府田優・執行役員 営業事業本部 MD統括 兼 商品研究室室長)。

積極的なプロモーションと安定した品質を目指す姿勢は、「チュチュアンナ」ブランドの価値向上を図るための“車の両輪”と言える。

「品質ライセンス制度」を導入

雪だるまと靴下がコラボしたPRでブランド認知度が高まった

雪だるまと靴下がコラボしたPRでブランド認知度が高まった

商品研究室が具体的にどのような方法で品質の安定化に取り組んでいるのか。チュチュアンナは、靴下やインナーなど含め自社品の生産を協力工場に依頼している。生産するアイテムによって工場を使い分けている。上海にある子会社の上田商工と国内で数回の検品体制を整えているが、これをもっと発展させようというのが同研究室のねらいだ。

その大きな柱になるのが「品質ライセンス制度」だ。一定の品質をクリアした工場に認定書を渡す制度を導入している。これは一度、認定書を手渡されたら終りというものではなく、「これをきっかけに工場のオーナーの意識が変わってくれることに期待」(国府田室長)と語る。「この制度を導入したことで品質の安定化が進み、また工場の品質に対する意識も確実に高まった」(同)という。継続的な取り組みで質の低下を防ぎ、安定品質・安定供給を維持していくのが大きな目的だ。

昨今、人件費の高騰で雇用が流動化し、特に中国では工員の安定度が低下している。そのため、こうしたライセンス制度は工員の入れ替わりが激しい状況下でもその工場が一定の品質を保てる基盤にもなっている。「現在は品質ライセンスの認定を受けた工場は一桁台ですが、今後は増えていくと思います。毎年、査察を実施するので、認定が取り消される可能性もあります」(国府田室長)。ライセンス制度は厳格に運用されている。

工場と社内、互いの意識改革に

研究室の設置と品質ライセンス制度の実施は工場オーナーの品質に対する意識を変えたが、国内のスタッフにも好影響を与えているようだ。目に見える形で品質を管理する「商品研究室」が出来たことにより、改めて日本のスタッフも品質に関心を寄せるようになった。

商品研究室の設置と品質ライセンス制度に加えて、工場オーナーやスタッフを日本に招き、展示会や市場を見てもらう試みをスタート。日本のトレンドや嗜好を肌で感じるだけでなく、実際に顔を合わせてコミュニケーションをとることで理解が深まり、お互いの意識改革と品質向上に大きく貢献している。また、MD担当者が店長会などの場を利用して顧客の声を吸い上げ、次の企画に反映させるという仕組みも継続的に運用している。 こうした取り組みが顧客とブランドを結びつけ、顧客満足の向上へとつながっている。

チュチュアンナ WEB サイト: http://www.tutuanna.jp/

(樋口尚平)

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