近鉄百貨店「あべのハルカス近鉄本店」──レディス売り場を改装オープン
自主編集売り場を主体に顧客の開拓と回遊性の向上を図る
update: 2022/09/05
《店頭レポート》
近鉄百貨店が9月3日、「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市阿倍野区)のレディス売り場を改装オープンした。新しいMD編集により、新規を含めた顧客の開拓と回遊性の向上を図る目的がある。今春に実施した改装に続く第2弾で、5階のミセスと4階のキャリアの2カ所で実施した。アパレルと非アパレル商材を組み合わせた“スクランブルMD”が特徴だ。
マツオインターナショナルとの共同企画
5階のアダルト・ミセスのフロアには新たに、独自に商品を編集した売り場「いろどりMarche(´)」(いろどりマルシェ)をオープンした。婦人服企業のマツオインターナショナルと共同で企画した一角で、アパレルのほか服飾雑貨や自然派化粧品、食品などアパレルと非アパレル商材を組み合わせた“スクランブルMD”で構成する。ターゲットは50代以上のミセス層だ。
内装や観葉植物など、売り場の演出をマツオインターナショナルが担当した。テイストは“ナチュラル系”で、既存のアパレルテナントと新規ブランドで構成している。アパレルでは、テイストが合致する既存ブランドの「ヤッコマリカルド」を移設オープン。新規では「エムニプラス」、レッグブランドの「ノネット」、バッグの「ボヤージュホーム」などが新たに出店した。
最も新しい要素は、食品を揃えた点。百貨店でアパレルの売り場で食品を扱うことは珍しい。全国の食品をセレクトした「きしな屋」が出店している。また売り場の中央付近には机をイスを配置し、ワークショップのスペースを設けた。アクセサリーや刺繍の工作など、日替わりで様々な内容を提供する。「大人の女性の“たまり場”にしたい」(百貨店事業部本店ファッションプロジェクト推進部、田持瑞季 係長)という思いがある。
商品構成はアパレルが50%、服飾雑貨が35%、食品が15%。食品はおよそ300品番を扱う。幅広い商材を揃えることにより、フロアにおける回遊性を高めようとしている。
来春以降も改装、強化を進める計画
4階のキャリアのフロアでは、レディスセレクトショップ「Phare another closet」(ファーレアナザークローゼット)を新たに出店した。株式会社ツジ(三重県伊勢市)が運営する。今春オープンした自主編集売り場「サロンドゲート」に隣接する場所だ。四日市店や上本町店に既存店舗があり、しっかり顧客を持っている店舗だ。顧客層は「30代前半から50代の感度が高い働く女性」(ツジ、清水幹弘 代表取締役)。感度は高いが「背伸びし過ぎないテイスト」(清水社長)を心掛けている。
取り扱いブランドは「マルニ」「MM6」(エムエムシックス)などインポートブランドを中心に構成。ジーンズでは「シチズンズ・オブ・ヒューマニティ」をラインナップ。そのほか、「ピエール アルディ」のシューズやバッグなども取り揃える。「あべのハルカス」にはないブランドばかりで、既存テナントとも住み分けができる。
4階の主なターゲット層は30-40代の働く女性だが、「ファーレアナザークローゼット 」を導入することでさらに顧客層の幅を広げる狙いがある。5階フロアと同様に、買い回りの活性化も視野に入れている。
来春以降も継続してレディス売り場の改装、強化を進める計画だ。5階フロアを対象に改装計画を進めており、やはり“スクランブルMD”が軸になる。“インナーマッスル”を編集のテーマに考えており、さらに商品の切り口や品揃えを多様化しようと考えている。
(樋口尚平)