企業レポート
オンワード樫山、メンズブランド「ジョセフ・アブード」──上陸30周年を機に業容拡大、新規顧客の開拓にも力を入れる
update: 2025/09/29
オンワードホールディングスの中核企業、オンワード樫山が手掛けるメンズブランド「JOSEPH ABBOUD」(ジョセフ・アブード)が今秋で日本上陸30周年を迎える。主力のメンズラインに加え、上質感を追求した「ブラック」レーベルや、アウトドアテイストを採り入れた「ジョセフアブード・マウンテン」やレディス企画など、新しい商品群も加わった。今後は、次世代を担う新規顧客の開拓にも力を入れようとしている。
百貨店のメンズ売り場で定位置を確保
「ジョセフ・アブード」ブランドは、米国生まれのジョセフ・アブード氏が1987年に立ち上げた。上品なアメリカンカジュアルテイストが特徴で、50代を中心に大人の男性客から支持を集めている。日本市場には1995年秋に上陸した。2021年に日本の商標権を取得し、現在はオンワード樫山の自社ブランドになっている。
主力の販路は百貨店のメンズ売り場。百貨店ではメンズカジュアルの淘汰が進み、定位置を保つことが難しくなっているが、同ブランドは着実に顧客をつかみ、売上規模も堅調に伸ばしてきた。今期の推移は、猛暑の影響などもあり収益性は低下しているというが、前年同期比はクリアしている。
2020年より、ブランドの価値観を維持する目的で、シーズン中のマークダウンを取りやめた。オーガニックコットンや高機能素材など、質の高い素材を採用していることもあり、上代設定は高め。高品質の製品を求める顧客も多いため、売り方にも気を使っている。この施策は結果的に、販売員など現場の士気を高める効果もあり、また顧客のブランドに対する信頼度アップにも寄与している。
アウトドアテイストの「JOSEPH ABBOUD mountain」──若い世代にもアピール
2019年秋冬シーズンから新たに立ち上げたアウトドアテイストの「JOSEPH ABBOUD mountain」(ジョセフアブード・マウンテン)も順調に成長してきている。オンワード樫山からジョセフ・アブード氏へ提案した企画で、「今の時代に合致したカジュアルを作りたかった」(第二カンパニー JOSEPH ABUBOUD Div.、上野陽祐)という。
このラインではレディスも展開していて、製品には専用のパターンを採用している。機能性素材も使っているが、着用シーンはタウンユースを主に想定する。メーンのラインと比較すると上代も低めで、スポーツテイストに仕上がっているが、若い次世代の新規顧客を取り込む目的もある。今後は既存の店舗に加え、「ジョセフアブード・マウンテン」の単独店舗も出店していく計画だ。
(樋口尚平)