店頭レポート
大阪・梅田「グラングリーン大阪」二期棟──3月21日、『南館』がグランドオープン
update: 2025/03/24
大阪・梅田のいわゆる「北ヤード」と呼ばれていた区画の再開発事業で、複合商業施設の「グラングリーン大阪」の二期棟──『南館』が3月21日、グランドオープンした。物販や飲食など計55のテナントが新たに入居するほか、地階にはアジア初進出の飲食と文化発信の拠点「タイムアウトマーケット大阪」が出店する。また、関西最大級の健康増進施設「うめきた温泉 蓮 Wellbeing Park」も新しい分野のテナントだ。今回のオープンで「グラングリーン大阪」全体の約70%が開業することになる。
オフィスワーカーを主顧客に幅広い層を想定
複合商業施設「グラングリーン大阪」は昨年9月6日、北側に該当する第一期分が先行オープンしている。2013年にオープンした南側に位置する「グランフロント大阪」を補完する目的もある施設だ。第一期の北館には開業以来、1,000万人を超える来場者があった。人の交流を重視したコンセプトが特徴で、その意味では初期の目的が実現できていると言えるだろう。
南館の延べ床面積は約31万4,125㎡。主にパークタワー、ゲートタワー、サウスタワーの3つのビルで成り立ち、中層以上はオフィスとホテルが入り、低層階は商業区画である。地下1階、地上4階の商業棟に55のテナントが集積している。飲食をはじめ、ファッションや雑貨などの物販、サービス施設「うめきた温泉 蓮 Wellbeing Park」などで構成する。
テナントの感性、品揃えは既存施設の「グランフロント大阪」や「グラングリーン大阪」北館との住み分けを考慮した。ターゲット層は、南館のオフィスワーカーが主体。高感度、個性的で、上質な商材を扱うテナントが揃う。一部、大阪市内の旗艦店舗として新たに出店したテナントもある。
旗艦店舗に位置付けるテナントも
ファッション系の新規出店テナントをいくつか取り上げる。セレクトショップの「ロンハーマン」は、「グランフロント大阪」に既存店舗を展開していたが移転し、新しいコンセプトで新店舗を出店する。レディス・メンズ・キッズのファッションに加え、カフェを併設した構成だ。売り場面積も拡大した。テイクアウトがメーンのメニューで、利便性が高まっている。既存店ではファミリーやカップルなど幅広い客層が来店していた。比較的、年齢層の高いメンズ客を意識し、内装を木調の落ち着いたテイストに仕上げている点が特徴だ。
「ザラ」は茶屋町に既存店を構えていたが閉店し、「グラングリーン大阪」に最新のコンセプトを採り入れた店舗を出店する。グローバル店舗と同様の「ブリック」(レンガ)を用いた新しい内装を採用している点が特徴だ。2層構成で、1階はレディス、2階はメンズとキッズを展開する。「ブティックエリア」というシーズンのハイライト商材を並べるコーナーを設けるなど、テイストやアイテムごとに編集したコーディネート提案に力を入れている。店内はスペースを十分に確保し、ブランドの世界観の発信・構築にも力を入れている。また、自社のECサイトと連動したサービスも提供。顧客の要望で2時間以内に欲しい商品をチェックし提供する仕組みが特徴だ。
三陽商会の紳士靴とコートの専門店「三陽山長 粋」は関西初出店。大阪の拠点店舗に位置付ける。紳士靴ブランド「三陽山長」と「サンヨーコート」に絞り込んだ商品構成である。梅田地区の既存店舗や商業施設との住み分けを考慮し、専門性の高い高感度で上質の商材に集約した。アッパー層やラグジュアリー層を想定しており、関西の既存顧客に加え、新規開拓も視野に入れている。
(樋口尚平)