店頭レポート
大阪・西梅田の商業施設「KITTE大阪」が7月31日にオープン──来春までに全130テナントを開業予定
update: 2024/07/30
大阪・西梅田の商業施設「KITTE大阪」(キッテおおさか)が7月31日にオープンする。日本郵便と西日本旅客鉄道(JR西日本)、大阪ターミナルビルなどが共同で進めていた大阪駅西地区の再開発事業で、大阪中央郵便局と大阪ステーションホテルを併設した複合型ビルの「JPタワー大阪」。「KITTE大阪」はその商業ゾーンに該当する。
大阪駅周辺に初出店のテナントが80%を占める
同区画は大阪駅西側に位置し、地下からは同駅や地下街と直結する大阪・梅田商圏の一等地だ。以前、旧大阪中央郵便局があった場所である。地下3階、地上39階の構造で、商業エリアは地下1階から地上6階。延床面積は約22万7,000㎡、商業施設部分は約1万6,000㎡である。建物の1階中央部分から4階までが吹き抜けになっており、開放感のある空間だ。
7月31日のグランドオープン時には、101のテナントが開店する。今後も段階的に出店を進め、来年4月の時点で全130店舗をオープンさせる計画だ。周辺に集積する既存の商業施設との住み分けを考慮し、テナントの約80%は梅田地区に初出店である。テナント構成は飲食系が多くなっているが、これは「市場リサーチした結果、ニーズの高い飲食に重きを置いた構成にした」(日本郵政不動産 開発本部 商業施設室、平岡大典 グループリーダー)背景からだ。
ターゲット層は、梅田に訪れるエンドユーザー、インバウンド客で、併設する大阪ステーションホテルの宿泊客も視野に入れている。また、来年開催予定の大阪万博に訪れる巻顧客も想定している。
物販は少なめ、飲食テナントに重点を置いた構成に
「KITTE」業態は東京・丸の内、名古屋、博多に次いで4施設目の開業。旧大阪中央郵便局は地上5階建てだったが、大きく規模を上回る施設として生まれ変わった。「従来の郵便局より高効率で活用すること、回遊性を向上させること」(平岡グループリーダー)が主な狙いだ。
「KITTE大阪」のコンセプトは「UNKNOWN」(アンノウン)。日本各地の魅力ある“ヒト・モノ・コト”を集めて、「日本の良さを発見・再認識できる場所」にするのが目的だ。地階は主に飲食店で構成。地上1階はカフェ、サービス関連テナント。同2階は「UNKNOWN」のコンセプトを象徴する構成で、全国各地の特産品や名産品を扱うテナントを集積させた。京都、高知、岡山(倉敷)、北陸3県(富山、石川、福井)、兵庫、北海道など、各地域の商材が集まるフロアだ。
3階はアパレルや雑貨、アクセサリーなど物販のフロアである。アパレル「オジコ」、紳士服「GINZAグローバルスタイルPREMIUM」、「豊岡鞄」、岡山デニム「Blue Trick」、サングラス「SWANS STORE」などが軒を並べている。4-5階は個性派の飲食店フロア、6階はアミューズメント施設や劇場、医療機関で構成する。
大阪。梅田地区は複数の百貨店やファッションビルなど商業施設が集積する激戦地。供給過多が指摘されて久しいが、80%の梅田地区に初出店のテナント、地の利を活かし、観光客だけに止まらず、ウイークデーの周辺のオフィスワーカーの取り込みも考えている。全てのテナントが揃い、施設が完成型になるのは来春の予定。どこまで知名度の向上と顧客創出を進めることができるだろうか。
(樋口尚平)