店頭レポート
大阪・梅田、北ヤード再開発事業「グラングリーン大阪」の第一期分がオープン──情報発信と商業ゾーンの北館が開業
update: 2024/09/05
大阪・梅田、いわゆる北ヤードと呼ばれていた一等地の再開発事業で建設が進んでいた複合商業施設「グラングリーン大阪」の第一期分が9月6日、オープンする。情報発信と商業ゾーンの北館を中心に、計19テナントが開業する。
「グランフロント大阪」に続く第二の街づくりを目指す
複合商業施設「グラングリーン大阪」は三菱地所など計9社の共同開発事業。2013年に開業した「グランフロント大阪」を補完する面もある。物販などの商業棟がメーンの「グランフロント大阪」と比べて、「グラングリーン大阪」は人口の公園が主体で、テナント数も控えめ。時間消費型で、情報発信や人の交流の場としての役割をより重視している。
開業から10年が経過した「グランフロント大阪」は500社、2万人が働く大きな交流の場所に成長した。同様に「グラングリーン大阪」も、公園が主体になるが、人の交流が盛んに行われる一大拠点として、“街づくり”に力を入れる方針だ。
「グラングリーン大阪」の総面積はおよそ9ヘクタール。うち約半分(4.5ヘクタール)を公園として開発した。総事業費は6,000億円。大きく北街区と南街区に分かれており、今回オープンするのは北館と南の一部テナントだ。今回は全体の約40%が開業する。来春をめどに南街区の商業棟がオープン予定。2棟の分譲マンションが開業する2027年度に完成を迎える計画だ。
今回オープンする北館の延べ床面積は約6万4,200㎡。地上6階、地下3階の構造である。低層階には商業テナントが入るほか、人と情報の拠点「JAM BASE」(ジャムベース)が設けられている。すでに全体の70%のスペースの賃貸契約が内定済みだ。上層階はホテル「ヒルトン」の新業態「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」が入居する。
時間消費型のテナントを重視
今回オープンするテナントは“時間消費型”を意識した。梅田商圏に既存店を持つテナントもあり、今回の新店舗との相乗効果を狙う一面もある。主なテナントでは、アウトドアの「パタゴニア」、キッズの「ボーネルンド」などが出店。新業態の飲食、大阪大学や立命館大学など教育系のテナントもあり、情報交流の場としての色合いも強い施設である。
「グラングリーン大阪」を運営する9社のジョイントベンチャーにより設立された一般社団法人うめきたMMOがこれから50年間、指定管理者として「うめきた公園」を管理・運営していくが、こうした長期にわたる契約も珍しいという。これからが事業の始まりで、時間をかけて“街づくり”を進めていくという意思が見て取れる。
梅田地区は百貨店やファッションビル、地下街など複数の商業施設が集積し、「供給過多」と指摘されることが多い商圏。「グラングリーン大阪」の計画が本格化すればするほど、そのテナント構成などを懸念する向きも多かった。第一期の内容を見る限り、そうした懸念は払しょくされている観がある。南館のキーテナントにはサービス(都市型スパ)と大型の飲食施設、フードマーケット.が出店予定。完成型はどのような施設になるのだろうか。
(樋口尚平)