三陽商会「ECOALF」ブランド、関西で初のPOPUPストア
update: 2020/11/09
《店頭レポート》
三陽商会が手掛けるサステナブルブランド「ECOALF」(エコアルフ)が11月4−17日の約2週間、阪急うめだ本店8階でPOPUP(ポップアップ)ストアを出店している。リアル店舗は関東圏に限定されていたため、関西では初のショップだ。
JVビジネスで自社企画製品も展開
「ECOALF」は2009年、スペインで立ち上げられたサステナブルファッションブランド。日本では三陽商会と本国企業のジョイントベンチャー(JV)として、ジャパン社を設立し、運営している(出資比率は三陽商会がマジョリティー)。基本的なラインナップは本国が企画したグローバルモデルだが、三陽商会が独自の日本企画も手掛けている。
リアルの既存店舗は東京・渋谷と二子玉川の2店舗。そのほか、自社ECなどでも販売している。ブランド自体は前述の通り2009年からスタートしており、現在15カ国・600アカウントで展開中だ。日本では今春から本格的に販売をスタートした。
顧客層は、サステナブルやこだわりのある商品に関心があるユーザーが多い。"Because there is no planet B"(第2の地球はないのだから)をブランドメッセージに掲げているが、意図した客層へ届いているようだ。今回のポップアップの出店に際し、事前に自社のSNSで告知したが、「非常に反応が良かった」(三陽商会事業本部コーポレート・エコアルフビジネス部、下川雅敏 エコアルフ企画課長)という。「関西にリアル店舗がなかったので、出店を楽しみにしていた顧客が多かった」(下川課長)。
雑貨ではシューズが人気を集める
今回のポップアップは、阪急うめだ本店8階のイベントスペースに出店する。スポーツ関連テナントが集まる「イングス」の一角だ。メンズ・レディス商材を提案するファッションブランドだが、サステナブルや機能性素材を扱う特徴があるため、店側もブランド側もこうした出店立地が相応しいとの意見で一致したようだ。
今秋の一押し商品は、コーヒー豆の“かす”をケミカルリサイクルしたポリエステルを採用した中綿ジャケット「KATMANDU マルチジャケット」(カトマンドゥ マルチジャケット。フッ素由来の撥水剤を使用しない、いわゆるフッ素フリー製品。生地が本来持っている機能性――撥水性、耐水性を兼ね備える。持続可能なサプライチェーンを経た製品に付けられる「ブルーサイン」の認証も取っている。アウトドアブランドでは「ブルーサイン」認証はそれほど珍しい事ではないが、ファッションブランドではまだまだ少数派だ。シルエットは昨今のアウトドア・トレンドを意識した体裁だ。
日本企画の第1号は、「サンヨーコート」の技術を使ったロングコート。リサイクルナイロン素材を採用し、エアバッグの廃材を補強素材として使用している。ブランドの本国も、日本独自の企画に期待を寄せている。
展開アイテムは前述のジャケットのほか、ロングジャケットやTシャツ、ニット関連など。いずれもリサイクル素材を使用した製品だ。同じくリサイクル素材を使用したシューズ=スニーカーも人気アイテムで、売上比率は30%を超えている。通年でブランド展開する場合、こうした年間定番品の存在は大きな力になる。
上代設定も考慮されており、例えば「KATMANDU マルチジャケット」は3万9,600円(税込み)。ポリエステル主体の機能性ジャケットでは、上代が4万円台を切るアイテムは少ない。「グローバルでロットを確保できる」(下川課長)ため、適正な上代に抑えられているらしい。
ブランド自体の売上高は非公表だが、顧客の関心は高い。店舗側からも、数少ないサステナブルブランドとしての期待が大きい。アパレル以外の企業から、協業の誘いもあるそうで、来年以降に実現できる計画だ。
(樋口尚平)