シキボウ、展示会「ECOTECHNO®2020」
update: 2020/10/29
《展示会レポート》
シキボウが10月14-30日の日程で、「ECOTECHNO®2020」をテーマに新素材展示会を開催。抗菌性を持たせる加工技術「FLUTECT®」(フルテクト)、CO2の排出を抑える素材「OFFCO NANO」(オフコナノ)の2素材が重点商材だ。
コロナ禍で、抗菌性加工「FLUTECT®」に注目集まる
今春から顕在化した新型コロナウイルスの影響で、抗ウイルスや抗菌に対する関心が急速に高まった。こうした市況ニーズの変化は、展示会で提案する素材の構成にも影響を及ぼしている。既存の加工技術だった「FLUTECT®」に再度、注目が集まった。
そのきっかけの1つが、デザイナーの森永邦彦が立ち上げたアパレルブランド「ANREALAGE」(アンリアレイジ)とのコラボレーション(協業)。コロナ禍で抗菌・抗ウイルス機能に興味を持った森永氏が、抗菌性を持たせる加工技術「FLUTECT®」を自身の作品に採用した。先日開催された「パリ・コレクション」にも出品されたという。
元々、鳥インフルエンザ発生時に注目された加工技術で、シキボウでは2006年から展開している。綿・ポリエステル混、ポリエステル素材の加工に採用されるケースが多い。コロナ禍で抗菌に対する意識が高まっているため、ナイロンやウールなど新しい素材への加工要請も増えており、実証実験を進めている。
抗菌性を持たせる加工技術「FLUTECT®」を使用した同社の4層構造の抗ウイルス不織布マスクが人気を集めている。採用アイテムはマスクに止まらず、布マスクやタオル、シーツなど抗菌性が求められる繊維製品にも広がっている。
CO2を抑える素材「OFFCO NANO」も一押し素材
もう1つの提案の柱が、CO2の排出を抑えるポリエステル素材「OFFCO NANO」。糸に練り込んだ添加剤の効果で、衣料品を燃やした時に出るC(炭素)の拡散を抑え、CO2の生成を減らす機能性を持つ。従来品に比べ、約60%のCO2抑制効果がある。環境保全やサステナブルを意識するアパレル企業が増える中、今後の新しいニーズの開拓が期待できる。
そのほか、サステナブル性を追求した「COTTON USA™」も引き続き提案。元々、米国の綿が強みの同社として、拡販を推し進める。
同展示会では、グループ企業の新内外綿(株)の新素材も同時に提案している。一宮や北陸などのヤーンフェアに出展した新素材だ。1つは、使用済みあるいは裁断くずなどを再利用するリサイクルシステム「採生」(さいせい)。加工場や商社、アパレルなどと連携し、“生機”段階にまで再生する。2つ目は、魚の鱗(ウロコ)由来の海洋性コラーゲンペプチドを含む機能性レーヨン素材「FILAGEN®」(フィラゲン)。保湿性、消臭性に優れる。3つ目は、糸そのものに抗菌・消臭機能を持たせた「Lyosilver®+Deo」(リヨシルバー)。染色も可能で、抗菌・消臭機能は洗濯耐久性にも優れている。
(樋口尚平)