阪急うめだ本店、6階レディスフロア「プレミアムファッション」を改装オープン
update: 2020/03/30
《店頭レポート》
阪急うめだ本店(運営:阪急阪神百貨店)が3月5日、6階レディスフロアの「プレミアムファッション」ゾーンを改装オープンした。年齢軸ではなく「グレードと志向」でセグメントした新しいMD編集で、自分のスタイルを確立した“大人の女性”を幅広く取り込む狙いがある。
“審美性”がコンセプト、4つのテイストで売り場を構成
同売り場の改装は、「憧れアッパーマーケット」の取り組みの一環として実施された。希少性や限定性、こだわりの要素を重視。「プレミアムファッション」ゾーンと並行して、ジュエリー及び時計売り場などの改装も進んでいる(全面改装完了は4月頃の予定)。
「プレミアムファッション」ゾーンは、「自分のスタイルを確立している審美眼を持つ大人の女性」(阪急阪神百貨店、第1店舗グループ婦人ファッション商品統括部プレミアムファッション商品部、今川良佳 マーチャンダイザー)がメーンターゲットだ。年齢軸で区切っていないが、スタイルの確立にはある程度の経験値が必要なため、主要顧客は必然的に40代アッパーになる。
“審美性”をコンセプトにMDを編集した。従来の顧客が求めるテイストに合わせていたため、本来そのブランドが持つ個性や世界観が薄まっていたと分析。インポートの比率も高めると共にMDの中身を見直し、「ブランドの世界観をきちんと見せようと考えた」(今川マーチャンダイザー)。
「プレミアムファッション」ゾーンはオーセンティック、コンテンポラリー、上質カジュアル、クリエイターの4つのカテゴリーで構成する。今回はオーセンティックとコンテンポラリーの2つのカテゴリーを改装した。従来型の百貨店ミセス売り場から脱却し、感度・テイスト軸の新しい編集を目指した。
例えば「ダックス」や「レオナール」などでは、日本市場で扱っていなかった品番を採用するなどして、見え方が変わるように工夫した。新規は4ブランド程度と少数で、「ジョセフ」など他フロアからの移設組もある(雑貨を加えてMD変更)。数少ない新規ブランドの1つ「ブラミンク」は、昨年9月に出店したポップアップショップの反応が良く、常設店の導入につながった。
新たに30-40代女性の利用が増加
改装オープン後の反応は、思いのほか好評だという。ゆとりのある通路や明るい照明、感度の高い内装などが相まって、売り場に新しい印象を与えているようだ。コンテンポラリーでは、「30-40代の女性客が増えた」(今川マーチャンダイザー)。基本は40代アッパーが中心の売り場だが、客層の幅が広がっている。「年齢分布(の折れ線グラフ)が(特定の年齢に偏らない)“台形”になるよう目指しているが、(改装の)結果が表れ始めている」(同)。
前出の「ブラミンク」が典型的で、ポップアップ展開時は20-60代という幅広い年齢層が来店した。一様に感度が高い顧客で、特定の年齢層を超越して、テイストやグレード感を共有する特定の客層が多かった。「プレミアムファッション」ゾーンのコンセプトに合致する動きだ。
今回の改装では、「パーソナルスタイリングサービス」(PSS)も刷新。対面でスタイリングのコツやノウハウを提供するサービスだが、有料で3つのプランを提供する。「プレミアムファッション」ゾーンの一角にあり、同売り場をソフト面からサポートする。
今後の課題は、在庫を効率良く確保する点。ブランドの個性や世界観、商品の質を重視するため、大量生産が難しい一面がある。また、「アート性の高い空間、VPの提供」(今川マーチャンダイザー)も取り組み課題だ。ファッションの提案には「アート(芸術)がマスト要素になっている」(同)と考えているためだ。
(樋口尚平)