産業能率大学
スポーツマネジメント研究所実施 全国1,000 ⼈対象年末アンケート調査
今年の日本人アスリートMVPは大谷翔平選手 77.5% /来年のパリ五輪に八村塁選手も出場してほしい 71.4%
update: 2023/12/21
産業能率⼤学スポーツマネジメント研究所(所⻑︓中川直樹 情報マネジメント学部教授)は、2023 年のスポーツシーンを振り返り、2024 年を展望する調査を全国の1,000 ⼈を対象に11 ⽉に実施しました。
【調査概要】
調査⽅法:インターネットリサーチ 調査期間︓2023 年11 ⽉2 ⽇〜5 ⽇
調査対象:20 歳から69 歳までの男⼥1,000 ⼈(地域・性年代構成⽐は、総務省統計局最新⼈⼝推計に準拠)
調査担当:⼩野⽥哲弥(産業能率⼤学スポーツマネジメント研究所研究員/情報マネジメント学部教授)
集計協⼒:伊藤南海・⼤澤⼀晴・柏原汐⾥・⽥中宏昂・徳⽵彩花・乗⽥⼸(⼩野⽥ゼミ)
1.注目トピックに関する意識調査
スポーツに興味関⼼のない⼈も含めて実施した⼀般⼈対象の調査にも関わらず、回答者の77.5%が、今年の⽇本⼈アスリートのMVP が⼤⾕翔平選⼿であることを肯定しました。他競技のファンや、特定の推しアスリートがいる回答者も含まれる中、この肯定率の⾼さは驚異的です。侍ジャパンのWBC 世界⼀奪還の⽴役者であることはもちろん、MLB でも⽇本⼈選⼿初の本塁打王に輝いた⼤⾕翔平選⼿の圧倒的な活躍が、普遍的に⽀持された結果といえます。
また今年、W 杯の試合を初めて国内会場で開催し、48 年ぶりの⾃⼒五輪出場を決めたことでも注⽬を集めた男⼦バスケットボールに関しては、NBA(北⽶プロバスケットボール)を優先しW 杯を⽋場した⼋村塁選⼿について、来年のパリ五輪に出場してほしいかを尋ねました。こちらの質問についても回答者の71.4%が熱望する結果となりました。
このようにスター選手への注目度が高く、その他の競技でも国際大会において日本人選手の活躍が目立った2023年でしたが、調査結果より気になる傾向もいくつか発見されています。
2028年に予定されているロサンゼルス五輪において、野球・ソフトボールが復活するとの報道に関して、「嬉しい」との回答は55.2%にとどまりました。今年14年ぶりの優勝を決め、社会現象を巻き起こしたWBCという大会がある中で、少なくとも「男子野球」に関しては五輪に拘る必要がないとの見方も垣間見えます(本研究所が3月に実施した調査では、「WBCをサッカーW杯のような世界大会に」を支持する回答が78.6%に及んだこともその根拠として挙げられます)。
4年前の国内開催時は大フィーバーとなったラグビーW杯も、日本戦以外を観戦した回答者は20%を切るなど、競技自体への注目には課題を残す結果となりました(本研究所がラグビーW杯2019日本大会時に実施した調査では、決勝「イングランド×南アフリカ」の試合だけでも観戦率は35%を超えていました)。
サッカーに関しても、日本代表への期待がかつてないほど高まる一方、今年30周年を記念したJリーグが、来季からJ1・J2・J3それぞれ20チームずつになることを認知しているのは、回答者の10%未満という結果でした。
2.W杯日本代表のチーム内MVP調査
2-1. ラグビー日本代表
ラグビーW杯2023フランス大会は、9月8日から10月28日までの51日間にわたり開催され、日本は1次リーグをプールDで戦いました。9月10日の初戦チリ戦を42-12で快勝し好スタートを切りましたが、9月18日の第2戦では、優勝した南アフリカと決勝トーナメント準決勝で互角の戦いを見せたイングランド(結果は15-16)に善戦むなしく12-34で敗れました。9月29日の第3戦ではサモアに28-22で勝利したものの、10月8日の第4戦アルゼンチン戦では27-39で敗戦。この結果、2大会連続の決勝トーナメント進出はなりませんでした。しかし、最終戦となったアルゼンチン戦で、前半を14-15で折り返す接戦を繰り広げるなど、多くの感動を届けてくれました。
この大会における「日本代表のMVP」について調査した結果のTOP10は下の表の通りです。正確なキックでチーム内最高得点を記録した松田力也選手が1位(知名度の伸びも1位)、前キャプテンとして献身的なプレーでチームを支えた
リーチマイケル選手、新キャプテンとしてチームを引っ張った姫野和樹選手が続きました。
2-2. バレーボール日本代表
バレーボールW杯2023は、パリ五輪予選プールBを指します。国立代々木競技場第一体育館において、女子は9月16日から24日、男子は9月30日から10月8日にかけて、それぞれ9日間にわたり熱戦が繰り広げられました。
FIVB世界ランキング8位で臨んだ女子日本代表は、第1戦のペルー(同29位)戦を皮切りに、アルゼンチン(同19位)、プエルトリコ(同20位)、ブルガリア(同16位) 、ベルギー(同13位)と、いずれもセットカウント3-0で破竹の5連勝を飾りました。つづく第6戦も世界ランキング1位のトルコに対して1セットを先取するなど善戦し(結果は1-3で敗戦)、最終第7戦のブラジル(同4位)戦も最終セットまでもつれました。あと一歩のところで五輪出場決定はなりませんでしたが、手に汗握る試合展開に視聴者は釘付けとなりました。
他方、世界ランキング5位で臨んだ男子日本代表は序盤で苦しみました。第1戦のフィンランド(同28位)戦をフルセットで辛勝、第2戦のエジプト(同23位)には2-3で敗戦し、早くも崖っぷちに追い込まれました。しかしそこから、チュニジア(同18位)、トルコ(同13位)、セルビア(同9位)、スロベニア(同8位)に4連続ストレート勝ち。劇的な形で、見事パリ五輪切符をつかみ取りました。最終のアメリカ戦(同2位)も2-3の惜敗で、五輪本選にも期待を抱かせる内容でした。
この大会における女子日本代表・男子日本代表それぞれの「チーム内MVP」について調査した結果の各TOP5が下表になります。両者に共通しているのは上位選手に投票が集中している点です。性差の特徴としては、特に男子選手の認知率に関して、同性の男性回答者(N=504)よりも異性の女性回答者(N=496)の方が総じて高い傾向が見られました。
3.パリ五輪の期待競技と期待選手に関する調査
来年には世界的なスポーツの祭典、夏季オリンピックが控えています。フランスの首都パリを舞台に、7月26日から8月11日までの17日間開催されます。2020東京五輪(コロナ禍により1年延期され2021年に開催)の閉会式で流れた圧巻のプロモーション動画でその一端が明かされた文化遺産との融合が大きな特徴で、エッフェル塔前でビーチバレーボール、ヴェルサイユ宮殿で乗馬などが行われます。東京五輪で登場したサーフィンはフランス領タヒチで開催、新競技としてブレイクダンスが登場するなど、話題性の高い大会となりそうです。 そのパリ五輪に関して、「楽しみにしている競技」を5競技まで、「期待している選手」を5人まで、それぞれ挙げてもらいました。前者は選択式、後者は純粋想起です。公式な競技数は32ですが、日本オリンピック委員会(JOC)のWebサイト( https://www.joc.or.jp/paris2024/games/ )に掲載されている47区分を参考に、一部を集約(自転車競技、馬術、カヌーなど)、一部を再区分(陸上競技を「トラック種目」「フィールド(投てき)」「マラソン・競歩」に分割するなど)して44競技を選択肢として用意しました。選手名については表記ゆれを修正した上で集計しています。
3-1. パリ五輪で楽しみにしている競技
楽しみにしている競技の総合1位は「サッカー」でした。男子は2022カタールW杯以降、さらに海外での日本人選手の活躍が著しく、女子も今年W杯で成長を見せた点が背景に挙げられます。
ただし属性によってランキングは大きく異なります。相対的に男性の方が回答率の高い競技として「サッカー」「柔道」「ゴルフ」(女性0.8%)「レスリング」(同3.4%)が、女性は「バレーボール」「競泳」「バドミントン」(男性6.0%)「スケートボード」(男性4.2%)が挙げられます。世代間に関しても、特に60代の順位は他の世代と大きく違ったため、TOP3を下表に掲載しました。
3-2. パリ五輪で期待している選手
最後に、パリ五輪で活躍を期待している選手の名前を具体的に挙げてもらった調査の集計結果です。回答者の男女別にTOP10を主な理由とともに掲載します。紙幅の都合上すべては掲載できませんが、実際には100名を超える選手名が挙がりました。2024年は注目選手の活躍、そしてニューヒーロー・ニューヒロインの誕生にも期待しましょう。
■産業能率大学 スポーツマネジメント研究所
https://www.sanno.ac.jp/undergraduate/sportsmanagementlab/index.html
■産業能率大学
https://www.sanno.ac.jp/
■小野田哲弥ゼミ
https://www.sanno.ac.jp/undergraduate/learning/semi/special/onoda_tetsuya.html