髙島屋、「髙島屋京都S.C.」がグランドオープン
専門ゾーン「T8」が加わり、商材の幅が広がる
update: 2023/10/18
髙島屋とグループ会社の東神開発が手掛けた専門店ゾーン「T8」が10月17日、グランドオープンした。既存の髙島屋京都店と各フロアでつながる構造で、屋号も「京都髙島屋S.C.」に改称、新たなスタートを切った。「T8」は百貨店にはない商材やサービス分野を補完する役割を持たせ、館全体の相乗効果を高める狙いがある。
幅広い客層が対象、新規ユーザーを呼び込む
「京都髙島屋S.C.」の店舗面積は、「T8」が加わり約6万5,000㎡に拡大した。百貨店部分が約5万2,000㎡、専門店部分が約1万3,000㎡。今回新たに開業した「T8」は51の店舗で構成するほか、定期的に内容が変わる「POPUP」(ポップアップ)区画も充実させている。
「T8」は地下1階、地上7階の8層構造で、全フロアが既存の百貨店部分とつながっており、回遊性は良いようだ。髙島屋京都店という立地特性を考慮し、特定のターゲット層は設定していない。時間消費を目的にするケースまでを含めた幅広い客層が対象だ。髙島屋の村田善郎 代表取締役社長は「T8」開業の狙いについて、「当社の基本政策である『まちづくり』にのっとり、館を1つの“街”と考えて、ワンストップで楽しんでもらえることを考えた」と説明する。
専門店ゾーン「T8」のフロア構成は、「その場ならではの新しい店、物、刺激を追求」した。大型テナントでは、7階の「Nintendo KYOTO」(ニンテンドー京都)、5-6階の「蔦屋書店」、4階の「まんだらけ」が主な店舗。こうした個性派テナントは、特定の客層のニーズに合致することを目的に誘致した。施設を街と想定した際、“とがった”感性のテナントも必要になってくるからだ。
館全体のバランスを考えたフロア、テナント構成のため、「T8」のアパレル系店舗はやや少なめである。1-3階の低層階に店舗が集中している。主なところでは、「エブール」「プルミエ アロンディスモン」「スーパーエーマーケット」など。3階の一角には、高感度のゴルフウエアブランドも集積されている。
一方、既存の百貨店部分は大規模な改装は行っていない。ゴルフ用品の拡大、平場を中心とした雑貨類の拡充にとどまっている。「『T8』の新規客の動向を見極めてから検討する」(田原和也 執行役員京都店長)目的があるためだ。
二子玉川の「玉川髙島屋S・C」を皮切りに、複合型ショッピングセンター(SC)を開発してきた同社。今回の「京都髙島屋S.C.」も今後のSC展開の参考になると考えている。年間売上高目標、来店客数目標は非公表。
(樋口尚平)