あべのハルカス近鉄本店、レディス売り場を改装──“スクランブルMD”編集で集客力の強化を図る
update: 2023/05/01
《店頭レポート》
あべのハルカス近鉄本店が4月27日、タワー館5階のレディス売り場を改装オープンした。同月12日にはウイング館3階のレディスシューズ売り場を刷新しており、今春の改装が完了した。昨春から進めてきた“スクランブルMD”編集で集客力の強化を図る取り組みが一段落した。
アパレルの買い回り向上を狙った施策
4月27日、タワー館5階に新規オープンしたのは、自主編集コーナーの「美sion Terrace」(ビジョン テラス)。昨年3月の「サロンドゲート」、同9月の「いろどりマルシェ」に次ぐ第三弾。ミッシー、ミセスブランドを主に構成するフロアで、新規顧客の呼び込みと回遊性の向上、滞留時間を長くするなどの狙いがある。50代前半の女性客をメーンターゲットにするが、年下の若い層の来館を促す目的もある。
自主編集コーナー「美sion Terrace」の売り場面積は約245㎡。フロア中央付近のエスカレーター横の“平場”に位置しており、情報発信や集客の役目を担う。「美容と健康」をテーマにした幅広い商材を集約した。非アパレル分野が中心で、周辺のアパレルショップとの相乗効果を念頭に置いた。5階のレディス売り場は館内でも客単価が高く、上顧客が集まる優良なフロア。高額の美容機器なども取り揃え、幅広い商材で顧客ニーズの取り込みを図る。
商品の構成は美容関連、化粧品・フェムテック関連、食品関連でそれぞれ3分の1ずつを担う。同編集コーナーの一部を構成するアパレルブランド──「ラエフ」「リフレクト」「7-ID コンセプト」は雑貨系の自社品を提案する。アパレルが売れにくくなっている昨今の市況を踏まえ、「アパレルの買い回り向上を狙った」(百貨店事業本部本店ファッションプロジェクト推進部、田持瑞季 係長)面もある。
同編集コーナーの什器には、買い付けたインテリア製品を採用。「家の中にいるようなリラックスした空間を意識した」(田持 係長)。ブランドの垣根を低くし、1つのショップに見えるデザイン構造。美容機器を試せる「パーソナルブース」も設けており、今後はワークショップのような取り組みも計画している。
今回の改装で、昨春から進めてきた“スクランブルMD”編集で集客力の強化を図る取り組みが一段落した。第4弾は未定だが、当面は「本店で取り組んできた自主編集の要素を、他店へも広げていくことになる」(同)。先行して改装した自主編集コーナーの売り上げは予算ベースで推移しており、集客数は既存の3倍程度に増加するなど、徐々に改装の効果が表われてきている。
(樋口尚平)