パルコ、新生「心斎橋PARCO」をオープン
大丸心斎橋店「本館」と補完し合う売り場構成に
update: 2020/11/18
J.フロントリテイリングのグループ企業、パルコ(東京都)が11月20日、大丸心斎橋店「北館」に「心斎橋PARCO」(しんさいばし パルコ)をオープンする。昨年11月にオープンした「新生 渋谷PARCO」の要素を採り入れた新しいコンセプトの館だ。心斎橋地区には9年ぶりの出店となる。渋谷、名古屋と並び、旗艦店に位置付ける。
渋谷の要素、百貨店、大型専門店──新しい編集のフロア
「心斎橋PARCO」は同地区の館(現・心斎橋ZERO GATE)に1991年、オープンした(現在は「H&M」が出店)。2011年に閉店するまで約20年間、営業を続けていた。新生「心斎橋PARCO」は9年ぶりの出店となる。大丸心斎橋店の「北館」を居抜きで改装し、「新生 渋谷PARCO」のエッセンス──モード、アニメ、NEW飲食、アートを採り入れている。大丸との協業により、百貨店のテーマである「ラグジュアリー、高級飲食、ゴルフ&スポーツ」も加えた。上層階には大型専門店を配置し、新しい編集のフロア構成に仕上げた。オープンは少し先になるが、シネマコンプレックスなど新しい要素も付け加えられる。
北館全体の延床面積は約5万8,477㎡。パルコが賃借する面積は約2万2,000㎡。1階の「グッチ」など一部、大丸が管理・運営するテナントも混在する。地下2階から地上7階を主体にフロアを展開する。地下2階の食堂街及び地上12階のシネマコンプレックス、13階の飲食街は来春のオープン予定だ。
館の大きな特徴の1つが、2-10階まで、大丸心斎橋店本館と連絡通路でつながっている点。パルコの牧山浩三 代表取締役兼社長執行役員は「百貨店とパルコが構成するフロアで、百貨店でもファッションビルでもない──1日中、楽しめる館にしたいと考えた」と売り場編集の目的を語った。主要な顧客層は「感性の高いキャリアの方々がメーンになると思うが、百貨店のエントリー層である30-40代」(牧山社長)を想定。百貨店との相乗効果を狙っている。
リアル店舗への来店を促すことに軸足
ファッション関連では、1階に「グッチ」「エルメス」「バーバリー」「ティファニー」などが出店(「グッチ」「エルメス」はメゾネット・スタイル)。大丸のラグジュアリーフロアと連絡する2階には「ユナイテッドアローズ」「ザ・ノース・フェイス アンリミテッド」「ストーンアイランド」「ウールリッチ」などが軒を並べる。3階には「コーチ」「カシラ」「ストゥディオス」「スタニングルアー」などが出店する。4階は「アダムエロペ」「ウサギオンラインストア」「ユナイテッドトウキョウ」など。5階は「ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシング」「チャオパニック」「PLST」などが出店している。
6階は「ジブリ」や「ゴジラ」「カプコン」といったアニメやエンターテインメント系のテナントが集積する。7階は「無印良品」、9-11階は「東急ハンズ」、9階には「フランフラン」が出店する。
コロナ禍の影響で、オンラインを活用した館の販促活動がさらに活発化しているが、心斎橋PARCOでは、足繁く来店してもらうことを重視する。「アートや、バーチャルを含めた情報の提供」がキーポイントだと認識。「どうしてもお店に行きたいと思ってもらえるものを提供することが大事だ」(牧山社長)と考えている。来店を促す試みの1つとして、各ブランドの世界観を発信するために、ショップ面積を広くしている。「各テナントには、いかに世界観を作ってもらうかに重点を置いてもらった。その意味で、贅沢なスペースの使い方だと思う」(牧山社長)。
コロナ禍により、飲食テナントなどオープンが間に合っていない面もある。また、元々インバウンド客が多かった心斎橋地区だが、現在はほぼゼロの状態。先行きが見通せない部分もあるが、「心斎橋筋商店街──アーケードの“へそ”として、地元の皆さんと連携ができる施設になったと思う」(牧山社長)と自信をのぞかせた。
※当面の間、入店は事前予約制。詳細はウェブサイト: https://shinsaibashi.parco.jp/ まで。
(樋口尚平)