オンワードホールディングス、オンワードデジタルラボ
「CRAHUG」に参加するメーカー製品──京都で初の展示販売会を開催
update: 2022/03/22
《企業レポート》
オンワードホールディングス子会社のオンワードデジタルラボ(東京)が手掛ける、工場と直結し協業ブランドを開発・販売する「CRAHUG」(クラハグ)プロジェクトに参加するメーカーの製品を集めた展示販売会「つくるにふれる。くらすはつづく。展」を京都で初めて開催している。期間は3月19日から27日で、週末を中心にエンドユーザーが参加したワークショップも実施する。
エンドユーザーと触れ合う機会を設ける狙い
「CRAHUG」プロジェクトは昨年8月31日、オンワードホールディングスの子会社であるオンワードデジタルラボが主体になり、立ち上げられた。日本国内に工場を持つメーカーと協業し、オリジナルブランドの開発や販売、マーケティングなどに共同で取り組む。主な販路はオンワードの自社ECサイト「オンワード・クローゼット」だが、エンドユーザー向けの催事などでも販売する。
POPUPショップの展開も進めている。エンドユーザーと触れ合う機会を設けるのが目的だが、東京では六本木の蔦屋書店で開催。西日本では、今回の京都展が初めての実施だ。京都市から「地域創生のきっかけ」として出展の要請があり、今回の展示会が実現した。会場は、複合商業施設「GOOD NATURE STATION」(京都市下京区河原町通四条)の4階のイベントスペース。京都の目抜き通りの1つ、四条河原町の一角にあるビルで、3階フロアから髙島屋京都店に連絡するというアクセス環境に恵まれた施設だ。下層階は物販、テナント上層階にはホテルが入居している。
今回の展示販売会に出品されたのは約30社の国内ファクトリーブランド。草木染のワンピース、レインコート、クッション、天然由来の化粧品などを展示、販売している。こうした催事を開催する主な目的は、「『クラハグ』の認知度を高めること」(オンワードデジタルラボ、新規開発Div. 新規開発Sec.、酒見ひばり課長代理)。「製品に触れて、その良さを感じてもらいたい」(酒見氏)という狙いもある。400万人超の登録会員を抱える「オンワード・クローゼット」でも情報を発信しているが、やはり実地で直接顧客と触れ合える機会は貴重である。
期間中は週末を中心に、草木染め体験やアクセサリー作りなど複数のワークショップを開催。出展している製品をエンドユーザーに触れてもらい、より理解してもらえるような機会を提供する。
工場メーカーや小売店からの問い合わせも増加中
「クラハグ」プロジェクトの立ち上げから半年が経過し、自社工場を持つメーカーや小売店などからの問い合わせも徐々に増えている。「クラハグ」プロジェクトはオンワードと工場が協業して、トレンドを反映した売れる製品を企画、生産、販売することが肝。直接エンドユーザーに販売する機会や経験がほとんどない工場メーカーにとって、オンワードの持つノウハウやユーザーイベントは魅力的のようだ。
今回の展示販売会に参加した木曽川染絨の安藤篤史 代表取締役は「クラハグ」の魅力について、「工場側を主役にしてもらえること」だと説明する。また、企画や生産、販売、マーケティングなど、役割分担がはっきりしている点も取り組みやすい理由のようだ。「売ることは作ることよりも1000倍難しい」と言う安藤 代表取締役だが、「エンドユーザーと直接、触れ合うことで社員のモチベーション向上にもつながっている」と手ごたえを感じている。
「クラハグ」は、収益などの結果が出るまでに時間のかかる性質の取り組みだ。社内では「不思議なことをやっている部署だと思われている」(酒見氏)ようだが、従来の大量販売型ではない別のビジネスを確立できれば、差別化や安定した収益の確保につなげることができる。酒見氏は「まだまだ知名度が低いので、多くの人に『クラハグ』を知ってもらえるように努力したい」と今後の抱負を語った。イベントの詳細は、ウェブサイト: https://www.crahug.jp/ja/post/20220319_kyoto まで。
(樋口尚平)