60ブランド200型以上の多彩なアイテムを展開
ユーズドストックに新たな価値が生まれた
「デニムdeミライ~Denim Project~」
update: 2022/03/25
2022年3月23日(水)から、伊勢丹新宿店にて「デニムdeミライ~Denim Project~」がスタートした。この企画は、三越伊勢丹、阪急阪神百貨店、岩田屋三越の百貨店3社と、エスティ―カンパニー(群馬県桐生市)、ミッドウエスト(愛知県名古屋市)、GEA(山形県寒河江市)のセレクトショップ3社がタッグを組み、小売業の垣根を越えて実現したものだ。株式会社ヤマサワプレスが所有する「リーバイス®501®」のユーズドストックが、国内外の60以上のブランドやクリエイター、アーティストの手によって、200型以上の多彩なアイテムにアップサイクルされた。期間は4月5日(3月29日)まで展開する。
この企画は、1年前に三越伊勢丹 伊勢丹新宿店 リ・スタイル神谷将太バイヤーがヤマサワプレスにある大量のストックを見せてもらったことから始まった。膨大なストック量に「三越伊勢丹一社だけで賄いきれない」と感じ、競合他社に声を掛けた。このプロジェクトを取り仕切る神谷バイヤーは「日本中にファッションを楽しみながら、私らしいサステナビリティが選択できる未来をメッセージとして届けたいと思った。大きく広げるには一社でやるより、地方百貨店や力のある地方セレクトショップにも協力してもらったほうが良いと直感しました」と話す。
プレス内覧会でヤマサワプレスの山澤亮治代表は「神谷バイヤーに出会う1年前から自分たちでもいろんなところに提案してきました。それがこんな形になって嬉しく思います。今回はヤマサワプレスができることを総動員しました。プロジェクトを通じて、「リーバイス®501®」の魅力とファッションの楽しさを発信していきたいです」と語った。 このプロジェクトに協力したブランドはそれぞれヤマサワプレスに足を運び、実際にストックを見て圧倒された様子だった。中でも「ミナ ペルホネン」の皆川明デザイナーは、誰もが人生の中で何かしら関わることがある「リーバイス®501®」がこんなにあることに驚いていたという。どのデザイナーも膨大なストックを見て驚きつつも、すぐに想像を膨らませて商品を制作、ユーズドストックに新しい価値を生み出していった。
国内ファッションブランドの他に、フランスのセレクトショップ「メルシー」やイタリアのシューズブランド「セルジオロッシ」もプロジェクトに参加。ユニークなものだと茶道具やスイーツも展開。
伊勢丹新宿店では本館、メンズ館の11カ所で展開。アイテムは洋服やバッグ、シューズなどの服飾雑貨の他に、家具などのライフスタイルグッズ、アートまで幅広く取り揃える。本館1階のザ・ステージでは、今回使用したデニムの端材と、伊勢丹と三越で着用が終了した制服をアップサイクルした資材を使い、環境装飾を施した。この環境装飾からは、組み立て式のサイドテーブルを作ることができ、販売もしている。余った端材は再生して、同じ資材にすることが可能だ。
同じく本館1階のイセタンシード&リーフでは、ヤマサワプレスのプライベートブランド「One-o-Five DENIM TOKYO」のパーソナルオーダーイベントを実施。同じコーナーには、この企画に賛同したリーバイス®社が「リーバイス®501®」の歴史を感じることができるディスプレイを展示。さらにはコーナーで買い物をした人にワッペンをプレゼントする。
リーバイスがプロジェクトに賛同しディスプレイとワッペンを提供
本館3階のプロモーションでは、文化服装学院の学生で結成された「マスターイノベーション」のメンバーが制作した卒業作品を展示された。ヤマサワプレスから提供されたストックを余すことなく使用した一点物のアイテムを披露した。この卒業作品は希望者にプレゼントするという。 また、阪急うめだ本店では大阪文化服装学院の学生たちの作品が展示販売されている。
ヤマサワプレスが持っていた約20トンのユーズドストックのうち、この企画で半分程度が消化された。山澤代表は「とはいってもまだストックはあるので、これからも継続していきたい」と話す。神谷バイヤーも「今後がデニムだけでなく「○○deミライ」という形でいろんな企画を展開できる可能性も実感している」と話した。 商品はこの期間を過ぎても売り切るまでは丁寧に展開していく。その方法として6社の店頭やオンラインストアだけでなく、各ブランドの直営店でも販売していくとのこと。これまでは様々な契約上の問題で実現できなかった売り方が、このプロジェクトでは実現したといってもいい。このプロジェクトで、作り手・売り手・お客様がファッションをもっと楽しめる未来を感じることができた。 アップサイクルということで、全て商品は一点物だ。開店と同時に本館1階のザ・ステージは、この世に1つしかないアイテムを求めて行列ができていた。
(ファッションライター 苫米地香織)