地元顧客を順調に取り込む「京都BAL」
update: 2019/08/23
《店頭レポート》
中澤(京都市)が管理・運営するファッションビル「京都BAL」(京都市中京区)が好調だ。2015年8月に建て替えオープン後、最初は顧客の囲い込みに苦労していたが、昨年辺りから売り上げ、入館客数ともに前年を上回り、今年も好調に推移している。
館のコンセプトが浸透、顧客層も拡大
同館は1970年に開業した老舗のファッションビル。2013年1月に旧館を閉鎖し、建て替え工事後、15年8月にリニューアルオープンした。売り場面積はおよそ1万2,000㎡。地上6階、地下2階の8層構造だ。面積の規模に比して、テナント数は約30と少なめ。1店舗ごとの面積を十分に取り、ブランドの世界観をしっかり演出・発信することに重点を置いている。
概して、大型テナントが好調だ。各フロアの核テナントがけん引役になっている。地階の書店「丸善」を除く地上階は全てファッション系テナントで構成する。1階は比較的、面積の小さいショップが多いものの、2階以上は大型店舗が軒を並べている。2階は「トゥモローランド」、3階には「エストネーション」、4階は「ザ・コンランショップ」が核テナントだ。5階フロアは「無印良品」だけで構成する。6階には「ロンハーマン」「ロンハーマン カフェ」が出店している。
好調の要因は、“上質なショッピング体験を提供する”という館のコンセプトや時代性に合ったテナントを誘致してきた取り組みが、顧客に浸透してきたと分析する。アパレルを中心としたファッション系のショップが主力だが、共通の感性を持った非アパレル商材──香水や化粧品、雑貨、眼鏡、飲食、インテリアなどの人気も根強い。高感度や上質感を特長にする幅広い商材が強みになっている。
その好例が、今年に入り新たに導入したカフェテナント。アパレル系テナントと同じ感度やテイストを持ったショップを採り入れた。今年3月には、国内2店目の「ralph’s COFFEE」(ラルフズ コーヒー)をオープン。東京・表参道の「ポロ ラルフローレン」内に展開するカフェで、国内2号店だ。7月には「スターバックスコーヒー」を導入。若手の芸術家の作品を店内に展示するという「スターバック」では初の業態だ。
こうした新しいカフェ業態を導入した結果、主要顧客層の30代後半から40代前半に加え、30代以下の若い年齢層の来館も増えてきた。顧客層が拡大してきている。今後も、館のコンセプトに合致するテナントを慎重に精査して、導入していく方針だ。
(樋口尚平)