『注目パーソン・インタビュー』
アシックス 渡辺博司
執行役員プロダクトマーケティング統括部長
アスレチック・スポーツスタイルプロダクトマーケティング部長
デザインセンター長
update: 2012/01/10
2011年度を初年度とする5カ年計画「アシックス・グロース・プラン(AGP)2015」で、最終年度の2015年度に連結売上高4000億円の達成を掲げるアシックス。売り上げの60%以上を海外が占め、グローバル企業としての体制も整いつつある。国内外の「アシックス」ブランド商品に共通した方向性を策定するのが「プロダクトマーケティング統括部」。「アシックス」ブランドの商品企画の拠点だ。神戸に拠点を置くデザインセンターはグローバルで「アシックス」ブランドのデザインイメージを発信する。プロダクトマーケティング統括部長でアスレチック・スポーツスタイルプロダクトマーケティング部長を務め、デザインセンター長を兼務する渡辺博司執行役員に商品企画のグローバル化の進捗状況と今後について聞いた。
商品をサポートする
「プロダクトマーケティング統括部」は商品企画を担当する。マーケティングを担う「グローバルセールス・マーケティング統括室」とは“対”をなす組織で、店頭に並ぶ「アシックス」ブランドの商品を企画する部隊である。
「商品マーケティングは欧州、米国、日本、豪州含むアジアという4つの地域でそれぞれ取り組んでいます。特に欧米間では言葉や社会環境のこともあり連携しながら進めていますが、基本はデザインを含め各地域に根差した企画を主体的に推し進めています。日本ではものづくりの生産面や効率面、開発面を管理しています。アパレルはかなり現地ライセンスで展開していますし、フットウエア(シューズ)においても欧米では特にランニングが主体で大きなマーケットを持っているので、そこを中心に企画を進めています。加えて俯瞰する形でグローバル会議というものを軸にして、グローバルで商品政策を戦略的に展開していくものと各地域で先行的に展開していくものとを交通整理しています。生産工場やコストのコントロールも役割の1つです。日本のプロダクトマーケティング統括部のグローバル担当チームを起点にグローバル会議の中で大きな流れを押さえて、グローバル戦略を導いてマーケティング戦略と連携させていくというのが大きなポイントです。日本国内ではプロダクトマーケティング統括部が直接、企画に携わる体制です」
主力のフットウエアは日本で一括して企画しているが、アパレルは難しい面がある。
「フットウエアに比べるとアパレルは文化の違いや気候、サイズの違い、価格帯などグローバルで統一することが難しい面があります。現地にクイックで対応していくことが多いが、(翼のデザインで統一している)陸上競技ウエアが一番分かりやすいケースでしょう。グローバルで『アシックス』の商品を強化していく中で、1つは“アシックスらしさ”を加えていく目的があります。その部分がアパレルの場合はトップ層の選手が着用する『トップインパクトライン」に当たります。トップ選手が世界的な大会で着用する中で『アシックス』の1つの“顔”を作っていこうというのが目的です」
「翼で言えば、日本代表チームのバレーボール、バスケットボールなどのウエアでは同様に『アシックス』らしさを発信していこうと考えています。ブランドの認知やイメージを高めるに当たり、モノがきちっと用意された上でマーケティングサポートの効果が発揮される。そのモノの部分を強化するのがわれわれの部隊です」