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ゴールドウイン、大江伸治 取締役副社長 執行役員 総合企画本部長
新中計は基本戦略を継承、欧米市場で拡販進める
マルチブランド強化、実需型ビジネスへの転換は継続

update: 2013/06/24

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大江伸治副社長

大江伸治副社長

2013年3月期は売上高が525億円(8.0%増)と3期連続で増収を達成したゴールドウイン。経常利益は持分法関連会社、ゴールドウインコリアの投資利益が減少したため31億円(4.6%減)とやや減少したが、営業利益は19億円(68.2%増)、当期利益は26億円(1.0%増)と増益を達成した。2011年3月期から始まった中期3カ年計画が13年3月期で終了し、今期(2014年3月期)から新たな中期3カ年計画がスタートした。引き続き国内のブランド強化や流通改革を進めると同時に、海外市場の開拓も本格化する。新中計で取り組むべき具体的な課題について、大江伸治取締役副社長に話を聞いた。

浸透しつつある効率化の意識

好調を持続している 「ザ・ノース・フェイス」(13年春夏展より)

好調を持続している
「ザ・ノース・フェイス」(13年春夏展より)

11年3月期から始まった中期3カ年計画では、最終年度の13年3月期に売上高450億円、営業利益20億円、経常利益35億円の数値目標を立てていた。売上高は達成したが、営業利益・経常利益がやや未達に終わった。事業部別の売上推移では、主力のアウトドアが計画値198億円に対し249億円と当初の予想を上回った。アスレチックは計画値150億円に対し190億円、アクティブは同54億円に対し47億円、その他事業は同48億円に対し37億円だった。アウトドアがけん引役になり、アスレチックが復調したことが増収に貢献した。

財務面では着実に改善が見られる。連結で総資産は451億円まで増えた一方で、純資産は214億円に増加。有利子負債は44億円まで減少した。また発注流動改革が進んだため、経営効率が向上。店頭ロスが減り、売上原価が徐々に下がっている効果で売上総利益率も41.3%(0.4ポイント増)と改善した。販売管理費が197億円(11億円増)と増えているが、これは出店やイベント開催に伴う経費増によるものだ。

「前期(13年3月期)は天候不順や消費者の購買傾向の変化に対し機敏に対応できた部隊とそうでないところの差が出ました。一番うまくやったのが『ザ・ノース・フェイス』の部隊で、セール時期の1-2月にプロパー比率が60%を超えていた。通年でのプロパー比率は75-80%に達すると思います。『ヘリーハンセン』で年間50%くらいでしょうか。アスレチックも同じくらいだと思います。『エレッセ』はセール依存度が高く、改善が必要です。各ブランド共に期末の残品率(数量ベース)を一ケタ台まで減らすべきでしょう。最悪の時は20%を超えたこともありました。いわゆる製販バランスをとる必要があります」

前々期(2012年3月期)に黒字化を達成したアスレブランドの「チャンピオン」は、前期再び赤字を計上した。スポーツ量販店系の平場で主力商材になっているブラック・ゴールドの「S-MODE」やウオームアップ、ウインドブレーカーなどが苦戦した影響が大きかった。直営店や自主管理売り場で展開するアメリカンカジュアルテイストの「CASS」ラインは好調だ。

「『チャンピオン』は平場の基幹商材に替わる新商品を企画できなかったことが苦戦の要因でしょう。従来の商材に替わるものをいかに企画できるか。消費者が求めるのは明らかに『CASS』(チャンピオン・アメリカン・スポーツ・スタイル)系のテイスト。この『CASS』をブランドの新しい顔としてどこまで売り場を拡大できるかがカギだと思います」

ブランド間で達成度に格差はあるが、プロパー消化率を高めロスを減らしていくという基本的な姿勢や方向性は共有されつつあるという。

「もちろん、すべてのブランドがうまく行ったわけではありません。しかし、そういう(改善しようという)方向へ向かって皆が努力し始めたことが大きいと思います。以前はセールになったらセール品の消化に躍起になっていたが、今はいかにプロパーで売ろうかと考え始めている。セール品と徹底してプロパーで売る商品と期中投入して売るものでメリハリを付けるように指示しています。『エレッセ』も徐々に良くなっている。『チャンピオン』『スピード』を含めて、通期で損益分岐点辺りまで届くと思います。この3ブランドが(黒字化を)クリアできれば、ぐんと当社の収益基盤が強くなる。今期当たりにやっと愁眉を開けるのではと感じています。バランスシートは本当に良くなりました。後はいかに純資産を増やしていくかでしょう」