ミズノ、松下真也 取締役 ゴルフ事業、広報宣伝担当
「ウッドビジネスを強化する」
update: 2014/12/15
ミズノの主力ビジネスの1つであるゴルフ事業。過当競争や天候不順などの影響で、2014年は難しいシーズンになっている。2015年3月期第2四半期は日本や米州が苦戦したがアジアは健闘した。ビジネスのベースにしているのがクラブのカスタムフィッティングサービスだ。自社工場を活用した他ブランドとの差別化策で、今後はこれに加え、より利益が確保できるウッドビジネスにも本格的に力を入れていく。ゴルフ事業を統括する松下真也取締役に話を聞いた。
アイアンと同等規模を目指す
2009年から本格的に取り組み始めたクラブのカスタムフィッティングビジネス。各ゴルファーのスイングやプレースタイルに適したセッティングにクラブを加工するオーダーメードサービスである。価格競争に巻き込まれにくく、また技術力が必要なため、同社のゴルフビジネスにおいて、強みになっていた。しかし最近はその状況に変化が見られるようだ。
「カスタムフィッティングを始めた頃はゴルフ専門店やチェーン店など、専門の技術力を持った小売店が中心だったが、最近ではゴルフ量販店も普通に扱うようになった。技術面でも追い付いていると思うし、専門店などとの格差はなくなっているように思います。むしろ、地域特性や顧客特性に合わせて、各店が独自性を出していくことが重要になっている。当社もカスタムフィッティングビジネスを、小売店との間で再び強化し始めています」
カスタムフィッティングだけでは差別化が難しくなっている昨今のゴルフ市場において、ミズノは今後、ウッドクラブの強化にも本腰を入れる。12月12日から販売をスタートした「ミズノ JPX850 ドライバー」がその第1弾だ。ヘッドのソール部分に重心位置を調整できる可変式ウエートを配置。スピン量をコントロールできるようにした。またホーゼル部(ヘッドとシャフトの結合部分)にロフト角の調整機能を装備して、ボールの飛び出し角度もコントロールできるようにした。
「自分に合ったクラブを選んでもらおうと始めたのがカスタムフィッティングです。今回デビューした『JPX』の新モデルには、可変式の調整機能を搭載していますので、カスタムフィッティングの要素も盛り込んでいる。昨年発売した50−60代のゴルファーへ向けた新クラブ『ミズノ JPX EⅢ(ジェイピーエックスイースリー)』は、年配層というターゲットを絞り込んだクラブでした。『JPX』は上級者向けの『MP』を使わない幅広いゴルファーへ向けて、アピールしていきます。『EⅢ』のような特定のゴルファー層を意識した新モデルと、幅広いゴルファーへ向けた『JPX』の新作とを、1年おきに提案していきたい。5年後には、ウッドとアイアンの売上比率を半々にしたいと考えています」