『財務分析レポート』
スポーツメーカー上場7社の2011年3月期
海外依存の比率が高まる
update: 2011/05/23
アシックスは欧州、米州がけん引役に
連結で売上高2353億円と国内スポーツメーカーで1位のアシックス。国内が減収し、代わりに欧州と米州、アジア・パシフィック地域で売り上げを伸ばした。期中に買収したアウトドアメーカー「ホグロフス」の業績も収益に貢献した。売り上げ、利益の両面で欧米の貢献度が増した。海外売上比率は58.4%から62.6%に高まった。主力商材はランニングシューズを主体としたスポーツシューズで、海外売上のおよそ87%を占める。反面、スポーツウエア類はおよそ10%、スポーツ用具類が約2%と少数派である。
アシックスは総資産経常利益率(ROA)と自己資本当期純利益率(ROE)がそれぞれ10.1%、11.1%と2ケタ台を達成。売上高総利益、各利益ともに増益で、経営効率が高まった。手元資金を潤沢にする目的で借入金を増やしたため、有利子負債が130億円ほど増え365億円になった。震災の影響は売上高で10数億規模、利益面でおよそ5億円と思われるが正確な数値は分からないという。特別損失には「災害による損失」として、復旧支援費用1億500万円が計上されている。
ミズノ、欧米が好調に推移
ミズノは欧州、米州が増収。欧州ではランニングシューズが、米州ではランニングシューズの好調に加えゴルフが復調した。スポーツウエアが苦戦した。海外売上比率は27.9%から29.5%に増加。回復基調にある。売上総利益率も1ポイント以上増え、各利益段階でも増益を達成した。有利子負債は約22億円減少し、174億円になった。震災の影響は、売上高で20億円、利益面で10億円ほどあったと分析する。特損では災害による損失として、1億4900万円を計上している。
デサントは震災の影響を売上高で8億円、営業利益で4億円と予測した。特損の災害による損失は3700万円を計上した。国内はゴルフとアスレが苦戦。韓国を中心としたアジアや欧州など海外売上の増加が業績を後押しした。ROA、ROEの数値はいずれも6%台を達成した。商品の回転率がやや鈍っているが、手元の流動資産、キャッシュフローは改善されている。