アッシュ・ペー・フランス、旅するマーケットイベント「rooms JOURNEY 01」を大阪・梅田で初開催
update: 2021/07/12
アッシュ・ペー・フランスが7月1-5日の5日間、旅するマーケットイベントと題し「rooms JOURNEY 01」(ルームス ジャーニー 01)を大阪・梅田の「阪急うめだ本店」で初開催した。エンドユーザーへ向けて、新しい感性やコンセプトを持ったファッションや雑貨、食品、アートなどのブランドを紹介、発信する場に位置付ける。
BtoBからBtoCへ──新しい試み
アッシュ・ペー・フランスは、自社ブランドを扱わず、完全な仕入商材のみで構成する昨今では数少ないセレクトショップを展開する。今回の「rooms JOURNEY 01」の会場になった阪急うめだ本店のレディスフロアにも、ショップを出店している。
「rooms」(ルームス)は、同社が「冷やかしのない真剣な商談の場を提供する」という考えの下、アパレル関連ブランドを集約し開催していたBtoBの展示会が母体だ。現在は“国内外のクリエイターを発信するプラットフォーム”に位置付けている。当初はBtoBのみの展開だったが、約3年前から市場やニーズの変遷に合わせ、BtoCの要素も取り入れるようになった。今年からは「rooms JOURNEY」という名称で展開している。
今回の「rooms JOURNEY 01」は「rooms」の最も新しい形で、BtoCをベースにした。会社の哲学とも言える「新しいブランドを発掘・紹介し、良き定番ブランドに育てる」という精神は変わっていない。コロナ禍で開催は延期されたが、5日間の日程で無事、開催に漕ぎ着けた。
阪急うめだ本店のキャンペーン“GOOD FOR THE FUTURE”に則して、「様々な土地のクリエイティブな商品・サステナブルなアイデア」を発信。アパレルや雑貨、食品、アートなど幅広い商材を扱う約80の出展社(うち26社は大阪初出店)を集積した。
新規のファンを開拓する機会に活用
阪急うめだ本店の9階の催事場を活用し、サステナブル・ウエルネス・エシカルアートの3つのコーナーを展開した。国産皮革を使用した雑貨ブランド、植物染料をメーンにしたアパレル製品、天然由来の化粧品や食品など、大きな販路を持たない個性派ブランドが集まった。
昨今、クリエーション──新しい商材、ブランドの興隆は「地方が強くなっている」という。「自分達で発信する力が強くなっている。製品、ブランドの深掘りが進み、“スモールビジネス”の時代を迎えているのでは」とルームスの担当者。コロナ禍ということもあり、出展が危ぶまれた時もあったようだが、「(前向きな考え方の)地方のクリエイターに助けられた。ほとんどキャンセルがなかった」という。出展社の約70%がオーディション(審査)で決まった事も背景にあると考えられる(残りの30%が出展を依頼したケース)。
一方、阪急うめだ本店側のメリットも大きいようだ。新規顧客を獲得することが難しくなっている百貨店。梅田という一等地にある旗艦店舗だが、新しい挑戦と捉えている。催事場は仮設の印象が強いものだが、今回はレイアウトも替えて臨んだようだ。来店客は、アッシュ・ペー・フランスや出展社の従来の顧客がメーンだが、阪急百貨店の顧客など新しいファンの開拓が期待できる試みだ。
「新しいテーマを伝えていく」ことが「rooms」の目的。今では一般的になった“エシカル”(倫理的)という切り口の提案もアッシュ・ペー・フランスが初めて手掛けたという。「rooms」は新しい価値観をエンドユーザーに提案する実験場の側面もある。今後は全国の主要都市を中心に、同様の展示会イベントを巡回開催する計画だ。
(樋口尚平)